第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演2群 外来における療養支援

Tue. Nov 8, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場1 (302)

座長:相馬 泰子

[口演M-2-1] 外来看護師の入院時支援における実態と関連要因の検討

德永 明美 (高木病院)

Keywords:外来看護師、実態調査、入院時支援

【抄録】
【目的】円滑な入退院支援のため患者に入院前から外来で支援を評価する「入院時支援加算」が2018 年診療報酬改定で新設された。これを契機に退院困難リスクを意識した重症化予防など外来機能が重要視され、外来看護師の質向上が喫緊の課題となっている。そこで、本研究では外来看護師の質向上を図るため、外来看護師の入院時支援を含む在宅療養支援の実態を調査し、入院時支援の関連要因を明らかにすることを目的とした。【方法】ケアミック型病院で許可病床504 床、入院時支援加算を算定しているA 病院の外来看護師64 名を対象に、2022 年1 月に自記式質問紙調査を実施した。調査項目は基本属性、入院時支援8 項目を含む在宅療養支援、知識や役割意識への認識や関心、研修参加など38 項目。分析は記述集計後、関連要因についてχ 2検定を行った。統計ソフトはExcel 2019MSO を用いて有意確率5%とした。なお、本研究はA 病院倫理審査委員会の承認を得て実施し、研究協力は署名をもって同意を得た。【結果】協力が得られた40名(有効回答率62.5%)を分析対象とし、正職員50.0%、時間短縮勤務7.5%、非常勤勤務42.5%であった。入院時支援について、外来看護師は関わった患者の半分以上に持参薬の確認を62.5%、治療・検査説明を55.2%、患者情報収集を55.0%実施していた。しかし、褥瘡評価、栄養評価、退院困難リスク評価、介護サービスの利用把握、入院生活の説明は低い実施率であった。また、入退院支援に関心がある外来看護師が85.0%もいたが、入退院支援の研修は院外で5.0%、院内で12.5%と低い参加率であった。次に関連要因では、入院時支援の知識や外来の看護方針を理解した役割意識のある外来看護師が入院時支援を実施しており、入院時支援との関連があった(p< 0.001)。【考察】本研究の結果、知識と役割意識が入院時支援に関連があり、外来看護師の役割意識の向上と入院時支援の知識の習得が、外来看護師の質向上には重要であることが明らかとなった。しかし一方で、約半数を非常勤勤務で賄っている外来では、入退院支援への関心が高くても研修参加率が低い実態があった。このことから、外来の看護方針を周知し、外来看護師の役割意識や知識を高めて質向上を図るためには、全職員が参加しやすい体制での院内教育のシステム構築や充実の必要性が示唆された。