第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

Presentation information

口演

口演22群 重症化予防

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM 口演会場1 (302)

座長:大柴 幸子

[口演M-22-3] 通院中断を繰り返す2 型糖尿病患者に糖尿病非専門病棟で行った継続支援

藤瀬 真奈, 岡 佳子, 中尾 美和, 上野 理恵 (飯塚病院)

Keywords:2 型糖尿病、通院中断、糖尿病非専門病棟、継続支援

【抄録】
【目的】通院中断を繰り返す2 型糖尿病患者に糖尿病非専門病棟で行った継続支援を報告する。【方法】通院中断を繰り返す2 型糖尿病患者に糖尿病非専門病棟で行った継続支援について、診療録より抽出し考察した。倫理的配慮として、患者の個人情報保護を遵守し、発表の同意を口頭で得た。A 氏、70 代男性。2 型糖尿病。7 年前から計3 回の通院中断がみられる。胆管結石性胆管炎を併発し内視鏡的逆行性胆道膵管造影目的での入院中に糖尿病教室を受講した。A 氏は「医者から言われる症状もない」「普段は饅頭をあるだけ食べる」と語り、看護師は、自覚症状が乏しいA 氏に対して病状理解と食生活の改善に向けた支援が必要であると考えたが、糖尿病患者への指導の経験が少なく支援のつなげかたが分からずにいた。そこで、慢性疾患看護専門看護師(以下、CNS)にA 氏への支援について相談し、A 氏が通院中断を繰り返していることより、今後の治療継続についてどのように考えているのかを傾聴し、それを踏まえて支援を考えることが大切と助言を受けた。実際にCNS がA 氏の語りを傾聴する中で、過去の通院中断の理由として、医療費の負担を挙げ、定年を迎え負担が大きくなったこと、9 種類の内服薬により満腹感が得られること、今後も「通院をやめてしまいそう」との発言が聞かれた。さらに、A 氏は内服薬が5 種類を超えると『多い』と感じていることも分かり、看護師とCNS は継続支援として内服調整が必要だと考えた。そこで、看護師が消化器内科医師、CNS が内分泌・糖尿病内科医師に上記経緯を伝え、内服調整を依頼した。【結果】数値の安定により降圧薬や脂質異常症薬の中止、2 種類の糖尿病薬の配合剤への変更により、最終的に9 種類から5 種類の内服薬に調整でき、月5 千円ほどの医療費の削減につなげることができた。複数の内服薬に抵抗を感じていたA 氏であったが、看護師が調整結果を伝えると「薬を減らせてよかった。この量なら全部飲むし、通院も続けられそう」との発言に変わり、かかりつけ医につなぐことができた。【考察】糖尿病受診中断対策包括ガイドには、通院中断理由として「体調がよい」「医療費が経済的に負担」などが明記されている。A 氏の語りから通院中断に至った背景が医療費の負担であったことが明らかになり、糖尿病非専門病棟で看護師とCNS が協働し、A 氏の内服調整を行えたことは大切な継続支援であったと考える。