第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演22群 重症化予防

2022年11月9日(水) 09:30 〜 10:30 口演会場1 (302)

座長:大柴 幸子

[口演M-22-4] がん薬物療法を受けた患者が有害事象出現時に看護師に求めるケア

-悪性リンパ腫で治療を受けた患者へのインタビューを通して-

髙橋 真寿美, 安田 佳美, 請関 優利子, 黒木 綾, 仲田 恵美, 平田 直子 (宮崎県立宮崎病院)

キーワード:がん化学療法、不確かさ、有害事象

【抄録】
【目的】近年がん薬物療法薬の開発や治療の進歩で、がん患者のサバイバーとしての期間は長くなり、患者は治療の有害事象や持病と折り合いをつけ生活していく事が求められている。今回患者が有害事象出現時に看護師に求めるケアを明らかにし、看護ケアを充実させる事を目的に研究に取り組んだ。【方法】研究期間は2021 年6 月~ 11 月で、研究対象は2021年8 月~ 9 月に悪性リンパ腫でがん薬物療法を行った60 ~70 代の患者7 名である。データ収集はインタビュー方式で行い、有害事象出現時に看護師のケアで助かったことや有害事象出現時のきつさを患者自身に評価してもらい、その際に受けたケアで印象に残っていることを質問した。回答が得られない場合は11 項目の有害事象の出現状況を問い、症状の程度と看護師に受けたケアで印象に残った事を質問した。得られた回答から逐語録を作成、カテゴリに分類し、有害事象出現時に患者が求めているケアを抽出した。本研究は所属施設の倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】インタビューの結果16 個のサブカテゴリ、3 個のカテゴリを抽出できた。①治療による有害事象や対処する方法を教えてほしいというカテゴリは、治療スケジュール、有害事象についてイメージできるように教えてほしい・治療による容姿の変容時期や対処方法を家族にも教えてほしい・既往歴や身体症状に合わせた指導をしてほしい・今後出てくる有害事象について教えてほしい等の7つのサブカテゴリにより構成された。②治療や有害事象に対する不安を看護師にくみ取ってほしいというカテゴリは有害事象がイメージできない事への不安・有害事象の苦痛を理解してほしい・看護師へ思いを表出できるような対応をしてほしい・医療者へ相談しやすいような環境を整えてほしい等の5 つのサブカテゴリから構成された。③仕事と治療を両立するための方法を教えて欲しいというカテゴリは治療をすることでの身体の変化や対処を教えてほしい・仕事を続けるための体力維持の方法を教えてほしい・仕事と治療を両立する不安を分かってほしい・がん患者が利用できる制度を教えて欲しいという4 つのサブカテゴリにより構成された。【考察】がん薬物療法をうける患者への看護ケアは、治療の不確かさを軽減・解消するための行動、社会生活と治療を続けていくための行動、また、治療継続のための精神面を整えるための行動を支える視点が重要である。