第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演25群 災害看護

2022年11月9日(水) 09:30 〜 10:30 口演会場2 (303)

座長:城尾 恵子

[口演M-25-2] 訪問看護ステーション利用者または家族の災害に対する意識調査

-アンケート調査から見えた今後の課題について-

大石 紀子1, 山根 瞳1, 河島 志枝子1, 中野 尚美1, 赤井 由紀子2 (1.山口県下関市豊浦地域ケアセンターひびき苑, 2.四天王寺大学看護学部)

キーワード:訪問看護、災害、連絡先リスト

【抄録】
【目的】A 訪問看護ステーションの地域は海と山に囲まれ近くには断層がある地形であり、いつどのような災害に見舞われるかわからない。そこで災害時、利用者と家族がどのような支援を希望しているのか、災害に対する意識調査を行った。また利用者宅に連絡先リストがなく、家族が緊急時の連絡に困ったことがあったため、2020 年に作成した。災害時にもこの連絡先リストが有効活用できるのではないかと考えた。これらをもとにした事業継続計画(以下BCP)策定やマニュアル作成を目指し研究を行った。【方法】2021 年10 月現在、利用者または家族58 名を対象に、アンケート調査を書面にて実施集計した。有効回答者数は55 名(94.8%)であった。調査内容は合計10 項目あり、災害に対する意識調査と訪問看護師に希望する支援内容の把握等ある。結果は複数回答を含む。【結果】災害時避難を希望する人は14 名(25%)、避難を希望しない人は38 名(69%)であった。災害時に避難しない理由は、自宅のほうが安全、移動が不安または移動手段がない、避難支援者がいない、避難場所は不便で気兼ねが多い、排泄介助の時に人目が気になる、避難所は環境の変化が大きいであった。災害に対する不安は、避難場所への移動が困難、病気の治療や訪問看護の中断、近所に支援者がいないことであった。災害時に訪問看護に希望する支援は、安否の確認、介護医療用品の準備の声掛け、心配や不安の相談等であった。連絡先リストの活用をすると答えた人は41 名(74%)で、そのうち避難場所に連絡先リストを持参する人は11 名であった。【考察】今回の結果から、避難をしたくても移動手段がなく、避難できないことへの不安を感じていたため、日頃から災害時の移動手段について支援策を考えておく必要がある。また、避難所の環境に不安がある人に対して訪問看護師も避難所について把握し、正確な情報を伝える。そして、不安を感じていることを自治体へ情報提供を行い連携した支援を行う必要がある。災害時に希望する支援の内容から日頃より物品の準備の声掛け、安否確認、不安の相談等には、必要な機関へ連絡を行い継続した支援ができるように連絡先リストを活用してもらい、避難する人は避難所に持参して活用できる取り組みをしていく。今回のアンケート結果をもとに今後はBCP の策定や個別化したマニュアルの整備をしていくことが課題である。