第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演28群 看護管理~看護管理者の役割、リーダーシップ~

2022年11月9日(水) 15:30 〜 16:30 口演会場2 (303)

座長:今野 朱美

[口演M-28-2] 副看護師長の職務満足調査から考える必要な支援

川崎 夕紀, 小松 優子, 雨宮 恵美子 (市立甲府病院)

キーワード:副看護師長、職務満足、肯定的感情

【抄録】
【目的】副看護師長の職務満足の実態を知り仕事に対する肯定的感情の促進や副看護師長の効果的な役割発揮を促すための必要な支援を明らかにする。【方法】一般病床400 床以上の中規模自治体A 病院に勤務する全副看護師長31 名を対象とし対象者には研究の目的や趣旨を伝え、参加を拒否しても不利益が生じないこと、質問紙の返信をもって協力への同意が得られたとすることを文書で説明した。質問紙は対象者の基本属性、副看護師長就任時に抱いた思い、上司からの説明や動機づけの有無、副看護師長就任後の退職の意向について自記式アンケートを実施し単純集計した。上司からの説明や動機づけ、退職を考えた理由については内容をまとめた。職務満足は撫養らの職務満足測定尺度を使用し各構成要素と各項目の平均点、合計点を単純集計した。さらに基本属性との関連をt 検定(SPSS Ver.27)を用い分析した。【結果】副看護師長就任時に抱いた思いは、担うことへの負担・重荷が62.1%と多く、就任時の上司からの動機づけは27.6%が無と回答。就任後退職を考えた人は89.6%を占め、理由は仕事と家庭との両立や業務量の多さによる身体的・精神的な負担という回答が多かった。職務満足測定の結果「上司からの適切な支援」「仕事に対する肯定的感情」は経験が長い副看護師長の方が職務満足が高い結果となった。「職場での自らの存在意義」は全体的に職務満足が低い結果となり、中でも配偶者や子どもがいる副看護師長や経験が浅い副看護師長の方が職務満足が低く、専門認定看護師資格を持つ副看護師長は高い結果となった。「働きやすい労働環境」では管理者としての役割や業務量の多さからプライべートとの両立を負担とする声が多く職務満足が低かった。【考察】A 病院の副看護師長は、職務満足において「仕事に対する肯定的感情」は高いが「職場での自らの存在意義」は低く、経験や上司からの支援により能動的に仕事に取り組む姿勢や肯定的感情を持って仕事に取り組むことはできているものの副看護師長としての役割の達成や存在意義の実感が持てない可能性が考えられた。副看護師長就任後、担うことへの負担・重荷が少しでも軽減できるよう就任前から適切な動機づけを行う必要性や、看護管理者としてのプロフェッショナルな部分への承認、管理職も含めたワーク・ライフ・バランスを推進する職場風土作りの必要性が明らかとなった。