第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演30群 在宅療養移行支援③

2022年11月9日(水) 12:40 〜 13:40 口演会場3 (304)

座長:横山 孝子

[口演M-30-1] 救命救急病棟における看護師の「退院支援」の特徴と課題

-尺度を用いた自己評価と他部署のアンケート調査-

河上 高徹, 中桐 千裕, 津川 彩香 (徳島県立中央病院)

キーワード:救命救急病棟、DPWN 尺度、退院支援

【抄録】
【目的】救命救急病棟における退院支援の実践状況を把握し,効果的な退院支援への示唆を得る。【方法】1. 研究デザイン:実態調査研究。2. 調査期間: 令和3 年2 月8 日から2 月22 日。3. 研究対象:A 病院の職員238 名(救命救急病棟で勤務する看護師31 名,一般病棟で勤務する看護師195 名,退院支援部署で勤務する職員12 名)。4. データ収集の方法・分析方法:対象者に病棟看護師の退院支援実践自己評価尺度(Discharge Planning of Ward Nurses:DPWN 尺度) と, 独自に作成したアンケート調査を実施し,Mann-Whitney のU 検定とフィッシャーの直接確立検定による分析を実施した。倫理的配慮:DPWN 尺度を用いることは開発者からの同意を得ており,A 病院の倫理審査委員会にて研究の承認を得て実施した(承認番号20-33)。研究参加者に用紙を配布し研究内容と手順,目的を用紙により説明し,本研究以外では用いないことを説明した。【結果】救命救急病棟と一般病棟でDPWN 尺度を比較した結果24 項目中9 項目に有意差がみられた。救命救急病棟は退院支援において,「情報収集」と「意思決定支援」の点数は高かったが「社会資源の活用」と「療養指導」は低かった。退院支援への関心は一般病棟より救命救急病棟の方が低かった。救命救急病棟で実践されている退院支援に対する思いは他部署からの評価の方が全ての項目において高かった。退院支援に対する意識調査では,退院支援への関心は救命救急病棟が一般病棟より低い結果であった。【考察】救命救急病棟は入院直後に患者家族に対して,生活習慣や今後の意向を聴取したり,情報提供を行う機会があることから,退院支援の「情報収集」と「意思決定支援」への取り組みができていることが考えられた。「社会資源の活用」と「療養指導」においては十分な実践ができていないと自己評価しており,退院調整を困難にする要因の一つに「社会資源に対する医療者の知識不足」が挙げられている。住宅環境や制度,社会資源の利用についは,社会福祉士や介護支援専門員など専門的な立場から支援を得られるように連携する必要があると考えられた。アンケートの自由記載から退院支援への一貫した取り組みができないとあり,実践する機会が少ないことが「療養指導」の項目が低い点数であることに影響していると考えられた。