第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演39群 新型コロナウイルス感染症下の看護~看護職の心理①~

2022年11月9日(水) 14:00 〜 15:00 口演会場5 (103)

座長:尾田 由香

[口演M-39-1] 新型コロナウイルス入院重点医療機関としての役割が看護師の精神心理状態に与える影響

島村 千佳 (東京都立墨東病院)

キーワード:新型コロナウイルス入院重点医療機関、精神心理状態、看護師

【抄録】
【目的】新型コロナウイルス入院重点医療機関としての役割が看護師にどのように認識され、精神心理状態にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにする。【方法】令和3 年8 月に、A 病院看護師・助産師計335 名を対象に精神健康調査票の日本版GHQ12 と独自に作成した調査票を用いて、精神心理状態と新型コロナウイルス入院重点医療機関に勤務する事の認識を調査した。属性、認識と精神心理的影響との関連性をみるためにχ2 検定、スピアマンの順位相関分析を行った。GHQ12 の得点は4 点以上を「精神健康度不良」とした。調査票と共に研究の目的、方法、倫理的配慮について記載した文書を配布し、調査票の同意欄にチェックをし、回答した事で同意を得たものとした。調査票は無記名とし、A病院倫理委員会の審査と承認を得た。【結果】調査票回収率68.4%、その内有効回答率98.7%。女性95.1%、COVID-19対応期間は1 年以上の者が50.9%と最も多かった。認識としては「従事するのは仕方がない」、「感染する・させてしまうリスクがある」、「収束の兆しが見えず長期化している」が多かった。GHQ12 の得点が4 点以上の者の割合は61.1%。「従事したい」と認識した者の精神健康度は良好であり(χ2 検定p=0.021)、「従事したくない」(χ2 検定p=0.035)「感染する・させてしまうリスクがある」(χ2 検定p=0.007)「孤立・孤独を感じる」(χ2 検定p=0.007)「収束の兆しが見えず長期化している」(χ2 検定p<0.001)「不公平さ・理不尽さを感じる」(χ2 検定p<0.001)「看護を続ける自信を失う」(χ2 検定p=0.008)「慣れない業務でストレスである」(χ2 検定p=0.003)と認識した者の精神健康度は不良であった。【考察】多かった認識は環境や、感染症流行期の反応、対応期間の長期化が関連すると考える。新型コロナウイルス入院重点医療機関としての役割認識と精神心理的影響では、先行研究との比較より「従事したい」は看護師の使命感ややりがいの表れが関連すると考える。また新型コロナウイルス入院重点医療機関としての役割を果たす事が負担となり心理的歪みが生じた事やストレス、不安、罪責感情、通常診療を制限した中でやりがいや看護実践能力の喪失の懸念、主体的に動けない事や自分の能力を発揮できない事も関連すると考える。