第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演4群 精神看護①

2022年11月8日(火) 11:30 〜 12:30 口演会場2 (303)

座長:田上 美千佳

[口演M-4-3] A 病院で精神保健福祉法から医療観察法の病棟に異動を経験した看護師が感じる職場の人的環境に関する変化

太田 梓, 後藤 悌嘉 (長崎県精神医療センター)

キーワード:医療観察法、異動、人的環境

【抄録】
【目的】精神保健福祉法から医療観察法の病棟に異動を経験した看護師が感じる職場の人的環境に関する変化を明らかにし、医療観察法病棟で看護チームの機能を効果的に発揮していくための示唆を得ること。【方法】A 病院で精神保健福祉法の経験があり、医療観察法病棟に異動となって3 年以内の看護師を対象にインタビューガイドを用いた半構成的面接を行い逐語録を作成後、分析を行った。倫理的配慮として本研究はヘルシンキ宣言及び人を対象とする医学研究に関する倫理指針に従い承認を得たうえで実施した。面接は短時間で行えるよう工夫し、どの段階でも拒否できること、研究への参加・協力は自由意思であり、同意した場合であってもいつでも途中でやめることができること、結果の公表に関して口頭と文章にて説明し同意書にサインを受けた。【結果】分析の結果、177 のコードより30 のサブカテゴリーを抽出し<プライマリーナースに求められる役割と責任の変化><看護ケアのお試しの機会やスピード感の減少><業務やシステムの変化による経験値の重要性の実感><看護チームの一体感の低下><個別のケア方針の検討や情報共有の機会の減少>< MDT チームの枠組みを超える際のハードルの上昇><他MDT チームの方針に違和感を感じる機会の増加><対象者の目標が明確なことでのやりやすさ><医療観察法の価値観による行動制限にいたるプロセスの変化><チーム医療の浸透による動きやすさ><対象者とコミュニケーションをとる機会の増加><安全管理システムの充実><変化によって生じる看護師の葛藤>の13 のカテゴリーに分類された。【考察】最も記述量が多かったのは、<PNsに求められる役割と責任の変化>であった。精神保健福祉法から医療観察法へ異動したことで治療の基盤となる法律が変わり、治療を進めていくシステムにも大きな変化が生じた。また、看護師は看護ケアに関する視野の確保や、ケアについて他の看護師の承認を得たいといった思いから、看護ケアについて看護チームに相談したいといった希望を持っていた。しかし、そういった機会を効果的に確保することが出来ておらず、<変化によって生じる看護師の葛藤>を生じさせており、異動者のストレス要因となっている事が考えられた。一方で、医療観察法の理念である対象者の社会復帰に関しては、治療を進める上で各チームで重要な目標として肯定的に認知されていた。