第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演40群 新型コロナウイルス感染症下の看護~看護職の心理②~

2022年11月9日(水) 15:30 〜 16:30 口演会場5 (103)

座長:植田 みゆき

[口演M-40-1] 重症度別にみたCOVID-19 患者をケアする看護師の困難感

加藤 計至, 峯 歩美, 菊谷 志織 (大和高田市立病院)

キーワード:COVID-19、困難感、重症度別

【抄録】
【目的】COVID-19 患者のケアを行う上で、様々な困難状況に遭遇した。多くの困難状況に遭遇する中で重症度別に特徴があるのではないかと考えた。重症度別にどのような困難状況が起こっていたのか情報整理し、重症度別のケアにどのような工夫が必要であったのか考察するために本研究を行う。用語の定義:COVID-19 患者の重症度区分は、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症診療の手引に基づき重症度の区分を行った。また高齢で積極的な治療を行わない看取りの患者は重症として区分した。【方法】対象は、2020 年8 月~ 2021 年7 月にCOVID-19 患者をケアした看護師25 名。2021 年7月1 日~ 7 月31 日にCOVID-19 患者をケアした際、重症度別にどのような困難状況に遭遇したかを無記名でアンケート調査を行った。アンケート結果からKrippendorff の内容分析の技法を使用して困難状況を整理しカテゴリー分類した。【結果】アンケート回収率は84%であり、4 のカテゴリー14 のサブカテゴリーに分類された。軽症患者では、長期間隔離された状況でのストレスによる「精神的ケアに関する困難」が56%であった。中等症患者では、患者の状態悪化時などの際にすぐに訪室する事ができない、長時間PPE 着用での看護ケアに対する体力的負担から「身体的ケアに関する困難」「PPE に関する困難」が77%であった。重症患者では、看取りに起因する状況で「身体的ケアに関する困難」「家族に関する困難」が46%であった。【考察】軽症患者は、精神的ストレスが高くタブレット等を用いてコミュニケーションを図る際は、患者の反応を観察し理解度を確認しながらコミュニケーションを図っていく必要がある。また精神的ストレスが高い患者に関しては、直接的コミュニケーションを図り、信頼関係を構築していく必要がある。中等症患者では、汚染区域での業務時間が長くなりやすいため、看護師の負担軽減の為の業務整理やタイムスケジュール管理、マンパワーの調整を行っていく事が必要である。また、多職種とも情報交換を行い多方面から患者支援を行っていく事が重要である。重症患者では、家族に対し必要な情報提供を行うだけでなく、家族が死を受容できるよう家族ケアやグリーフケアが必要となる。そのためには、患者家族と積極的な連携を図り患者を中心とした信頼関係を構築していく必要がある。