第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演46群 看護管理~効率的で質の高い看護に向けた取り組み~

2022年11月9日(水) 12:40 〜 13:40 口演会場7 (105)

座長:網川 敏

[口演M-46-5] 地域の中核を担う自治体病院で働く看護師の社会人基礎力とコミュニケーション力の関係

小山 香織1, 望月 由美1, 井川 由貴2 (1.市立甲府病院, 2.山梨県立大学)

キーワード:看護、社会人基礎力、コミュニケーション力

【抄録】
【目的】看護師の社会人基礎力とコミュニケーション力の関係を明らかにすることを本研究の目的とする。【方法】A 病院の看護師326 名に自記式質問紙を用いて社会人基礎力、看護師のコミュニケーション力を調査した。社会人基礎力 (アクション、シンキング、チームワークの下位尺度を含む)、看護師のコミュニケーション力は、対看護スタッフ看護コミュニケーション力(以下、CSN1)と対患者・家族看護コミュニケーション力(以下CSN2)を下位尺度に含み、使用許可を得て調査を行った(各尺度とも6 段階評価)。基本属性ならびにCSN1、CSN2 の高低群による社会人基礎力の特徴を検定にて明らかにした。調査対象施設の看護研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果】回収238 部を有効回答とした(回収率73%)。9 割が女性で半数以上であった。病棟所属者が半数以上、正規職員が8 割以上であった。社会人基礎力の全体平均値は4.2、アクション4.1、シンキング4.0、チームワーク4.4 で、基本属性による有意差はなかった。看護師のコミュニケーション力は、全体平均値が4.4、CSN1 が4.3、CSN2 が4.5 であった。 CSN1 とCSN2 の平均値により高低群に分け、社会人基礎力の特徴を見たところ、CSN1 平均値未満群(n=118)の社会人基礎力は3.9 に比べ、平均値以上群(n=120)は4.4、またCSN2 平均値未満群の社会人基礎力は3.9 であるのに対し、平均値以上群は4.4 とCSN1, CSN2 とも高値群の方が有意に社会人基礎力が高かった。この傾向は、社会人基礎力の下位尺度毎の分析でも同様の結果であった(有意確率は全てp<.0001)。【考察】対患者・家族、スタッフに関わらず、コミュニケーション力が高いほど社会人基礎力が高い事から、対患者・家族、スタッフへの偏りないコミュニケーション力の研鑽が社会人基礎力の向上につながることが示唆された。A 病院では就職時の教育研修にて社会人意識や行動を基盤にした研修があり、基本的な社会人基礎力の向上につながっていると考えられる。今後はリーダーシップ育成やタスク研修等、自律的なコミュニケーション力向上を目指す教育支援によって看護職として不可欠な社会人基礎力の維持・向上が図れると考える。