第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演7群 患者の回復と生活の質の改善に向けた看護①

2022年11月8日(火) 11:30 〜 12:30 口演会場3 (304)

座長:田口 智恵美

[口演M-7-3] 高齢心不全患者の入院中フレイル進行予防に対する包括的介入の評価

安田 百花, 西山 良子, 間山 涼子, 東 由紀子 (横浜市立市民病院)

キーワード:心不全、高齢者、フレイル

【抄録】
【目的】高齢急性心不全患者に対するフレイル進行の予防的介入を行い、その結果を明らかにする。【方法】1研究対象65 歳以上の急性心不全患者のうち入院前のバーセルインデックス(以下BI)の点数が60 点以上の患者。基本チェックリストを使用し、フレイル、プレフレイルと評価された群2研究期間及び場所 2021 年9 月~ 2022 年3 月A 病院B 病棟 3研究方法 ア:説明と同意 対象患者にフレイルについての指導を行い、研究同意書、撤回書について説明し、同意を得た。イ:フレイル予防に対する介入 運動面に対し、ADLとフレイル尺度に合わせたリハビリテーションを1 日3回程度病棟で実施した。栄養面に対し、適切な姿勢で食事摂取を行うように介助した。また口腔アセスメントツール(以下OHAT)を使用し、口腔内の状態を評価し、ケアを行った。ウ:分析方法 基本チェックリストより、今回の介入に不適切と思われる項目を除外し、入退院時の点数の比較、差異の出た項目について分析をした。口腔内の状態は入退院時のOHAT を比較し評価を行った。【結果】介入期間中、65 歳以上の急性心不全入院患者17 名であり、研究の対象は11 名であった。介入患者の平均年齢は83.9 歳(男性6 名 女性5 名)。入院中に基本チェックリストの点数の上がったもの(悪化群)4 名、変化のなかったもの(維持群)2 名、下がったもの(改善群)5 名であった。項目のうち、抑うつに関連する項目で改善が見られたものが多かった。OHAT は入院時から点数の下がったもの3 名、変化なし8 名、上がったもの0 名であった。退院先は、自宅7 名、娘宅1 名、施設3 名(元の施設2名、施設入所1 名)であった。【考察】多くの症例が入院時のADL は比較的自立していてもフレイル、もしくはプレフレイルであり、心不全入院患者の多くがフレイルであることが改めて確認できた。動くことで心不全が悪化すると思い込み、必要以上に安静にしている患者もみられた。フレイル予防の指導を行った上で介入をしたことでより効果的な介入ができたと考えられた。心不全患者は抑うつや認知力低下のリスクがあることが明らかになっているが、介入による筋力維持と症状の改善によって維持、改善ができたと考えられる。また、待っている家族がいるなど明確な目的がある患者のほうが意欲的にリハビリに取り組んでおり、動機付けの重要性も示唆された。