第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演1群 ワークエンゲージメントを高める

2023年9月29日(金) 10:15 〜 11:15 口演会場1 第6会場 (1008)

座長:中 麻里子

[口演O-1-2] 看護師が感じる看護師長の支援内容とワーク・エンゲイジメントとの関連

五十嵐 真凜, 山口 佳緒理, 野路 梓, 坂口 大介 (福井県立病院)

キーワード:看護師長の支援、離職防止、ワーク・エンゲイジメント

【目的】近年看護師の働き方でワーク・エンゲイジメント(以下WE)が注目され、仕事の成果に対し上司から適切な評価を受けることで高くなると示唆されている。看護師長(以下師長)の支援は看護師の職務満足度に影響を及ぼし、両者の組織文化のとらえ方の乖離は離職率上昇につながる。このことから師長の支援は看護師のWEへも影響を及ぼすと考える。日本では離職率は11.5% に上昇している。看護師不足が懸念されている今日、看護師が長く働き続けられる職場環境づくりが課題となる。看護師のWE に影響する師長の支援内容を明らかにし、離職防止の一助となることを目的とした。【方法】ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度と先行研究を参考に独自に作成した看護管理者からの支援に関する評価尺度を使用した。A 病院で看護師経験年数6 ~ 11 年目の看護師135 人に無記名自記式質問紙を配布した。分析はSpearmanの順位相関係数を使用した。A 病院倫理委員会の審査承認を得て、対象者に目的と意義、データの取り扱い、同意後に撤回可能なことを文書で説明した。【結果】師長の管理者的行動機能、キャリア機能、受容承認機能における支援はWE と有意な正の相関関係があった。情緒的機能に関する支援はWEの没頭のみと有意な正の相関関係があった。基本属性別にみると管理者的行動機能の支援では、男性と女性で相関関係があった。情緒的機能の支援では、女性と子供ありで相関関係があった。キャリア機能の支援では男性、女性、結婚あり、子供あり、子供なしで相関関係があった。受容承認機能の支援では、男性、結婚ありで相関関係があった。【考察】研究対象者は停滞や中断をしやすいキャリア中期で、ライフステージが変化してもキャリアアップができる支援が必要である。師長がそれぞれの看護師の看護師経験年数や個人のキャリア形成における目標、ライフイベント合わせた支援をしていくことがWE に影響すると考える。日頃から技能を承認されると安心感がうまれ、「活力」、「熱意」、「没頭」との相関が高くなり、高いWE につながると考える。福利厚生が取りやすい職場環境づくりや、目標達成の機会を得るための役割を委嘱すること、子どもをもつ看護師には労い配慮することが具体的に必要だと考える。