第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演1群 ワークエンゲージメントを高める

2023年9月29日(金) 10:15 〜 11:15 口演会場1 第6会場 (1008)

座長:中 麻里子

[口演O-1-4] 初期キャリアにある看護師の就業継続の様相と課題

―第2 報:4 年目看護師の就業継続のプロセスから―

河本 乃里1, 田中 マキ子2 (1.下関市立大学新学部設置準備室, 2.山口県立大学看護栄養学部看護学科)

キーワード:離職防止、職場定着、先輩看護師、職場の人間関係

【目的】卒後4 年目看護師の就業継続のプロセスを明らかにし、初期キャリアにある看護師の就業継続の課題を検討するとともに、初期キャリアにある看護師の離職防止と職場定着促進への示唆を得ることを目的とした。【方法】本研究は第48 回日本看護学会論文集看護管理に投稿した「就業継続3年が職業継続意欲に影響を及ぼす要因の検討- 4 年目看護師の就業継続のプロセスから-」の続報として、対象者を追加し再分析した質的記述研究である。病院に新卒採用後、同一の職場で就業継続した卒後4年目看護師11 名から半構造化面接で得たデータを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析した。A 大学生命倫理委員会の承認を受け、対象者に研究目的と方法、参加の任意性等の説明を行い、協力意思を確認できた対象者に研究参加同意書に署名を得たうえで実施した。【結果】分析から33 の概念と6 つのカテゴリーを生成した。主要概念〈〉とカテゴリー〔〕からプロセスを説明する。卒後4 年目看護師は、最初の職場を〈看護師の基盤づくりの場所として就職〉していた。しかし〔働く自信をなくす〕複数の経験をすることで、辞めたいという思考が生じ〈行きたくない綱渡りの出勤〉をする。そのため〔マイナスの感情をコントロール〕しながら〔できる仕事を増やしていく〕。そしてできる仕事が増え〈先輩看護師を手伝える〉ようになると〔先輩看護師との関係性好転〕が起こり、〈辞めない思考へ変化〉する。さらに〔チームの一員として協働〕する過程で〈人間関係のポジション変化〉や〈必要とされるやりがい〉を感じ、〈仕事と職場への愛着形成〉、〈将来のキャリアを模索〉をしながら〔仕事と私生活の安定化〕を図り、就業継続していくプロセスをたどっていた。【考察】初期キャリアにある看護師の就業継続には第1段階:ショック・ストレス期、第2段階:努力・辛抱期、第3 段階:好転期、第4段階:発展期という4 つの段階があると考えられた。第3段階で先輩看護師を手伝えるようになり、先輩看護師との関係性を好転させ、関係性を構築していくという課題を解決することが、離職意思低減と就業継続につながる転換点になると考えられる。そして職場で行われている看護の仕事への愛着要素を強めながら、自らのキャリアの方向性を見出せるよう支援していくことが、初期キャリアにある看護師の離職防止と職場定着促進につながると示唆を得た。