第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演11群 健やかに生まれ育つことへの支援

Fri. Sep 29, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 口演会場4 第9会場 (1202)

座長:石川 紀子

[口演O-11-2] コロナ禍における分娩取り扱い施設が行う育児支援の拡大

―産後ケア事業の活用に焦点を当てて―

濵田 紀子, 斉藤 百恵 (市立豊中病院)

Keywords:産後ケア、コロナ禍、育児支援

【目的】地域周産期母子医療センターであるA 病院は、2017年から特定妊婦を対象に産後ケア事業を開始し、2017 ~2019 年度の利用件数は2 件であった。2020 年からコロナ禍となり、妊産婦は里帰り出産や別居の親族に産後の手伝いを依頼できず、支援者が限られるようになった。A 病院ではコロナ禍で面会を制限したことで家族を含めた育児支援が困難になった。そこで、2021 年から産後の育児支援を充実させる目的で、産後ケア事業の対象者を拡大し、切れ目ない母子支援の継続を検討した。【方法】2021 年12 月から、A 病院で出産予定もしくは母体搬送で入院した妊産婦全員に産後ケア事業の概要と対象者は利用可能であると説明した。新生児がNICU に入院した妊産婦には、NICU 退院前に再度説明をした。産後ケア事業実施契約を結ぶ市町村の保健師と利用対象者の情報を共有し連携した。2021 年12 月から2022 年12月の間の産後ケア事業の利用件数(母子1 組を1 件、双胎も1 件と算出)、延べ利用日数(1 泊2 日を2 日で算出)、利用理由をカルテより収集した。倫理的配慮は、個人が特定されないようにデータ管理を行い、個人情報保護を遵守した。【結果】産後ケア事業の利用件数は42 件(内双胎11 件)であった。延べ利用日数は144 日(平均3.4 日)、内訳は2 日と3 日が各16 件で多かった。利用理由は「NICU に入院し母子同室ができず育児が不安」が31 件(73.8%)、次いで産婦の入院中に家族が新型コロナウイルス感染症に罹患し支援がない、もしくは妊産婦が新型コロナウイルス感染症罹患のまま分娩となり母子分離していた「新型コロナウイルス感染症関連」が7 件(16.7%)、「家族からの育児支援が希薄」が4 件(9.5%)であった。【考察】産後ケア事業の対象者拡大で、利用件数は大幅に増加し、育児手技習得と育児不安の軽減を目的としたニーズが高いことがわかった。利用日数は2 ~ 3 日が多く、短期間で育児支援を受け自宅での育児を希望していた。さらに、新生児がNICU に入院した妊産婦は、退院後の育児支援を求めて産後ケア事業を利用していたことが明らかとなった。産後ケア事業の利用で、対象者は市町村の保健師と繋がり、継続した切れ目ない母子支援を受けることができる。特定妊婦だけでなくNICU を退院する母子への育児支援として、産後ケア事業活用の必要性が示唆された。