第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演14群 身体抑制・身体拘束低減への取組み

2023年9月30日(土) 10:30 〜 11:30 口演会場1 第6会場 (1008)

座長:井上 裕美子

[口演O-14-2] 「10 分間拘束オフ」が身体拘束低減計画に与えた影響

―第2 報「ベストオブ解除」症例の分析―

山田 淳美, 田中 未来, 大野 亜里沙, 木村 紘到, 上野 友美 (八戸赤十字病院)

キーワード:急性期、身体拘束、拘束解除、せん妄認知症、10 分間

【目的】A 病棟では治療に必要な医療行為を維持する目的で身体拘束を開始するが、除去出来ずに悩むことも多い。そこで、「10 分間拘束オフ」を目標に解除に向けた取り組みを開始した。また、解除症例の中から「ベストオブ解除」を挙げ、ケアの振り返りと称賛を行った。これらが「看護師の解除への意識向上」と「拘束の低減」に寄与したかを評価分析した結果を報告する。【方法】2021 年5 月~ 2022 年3 月のチーム会で「ベストオブ解除」に挙がった症例から、(1) 拘束理由・目的、(2) 解除に繋がった取り組みについて分析した。倫理的配慮:研究データは個人が特定されないよう配慮することとして所属病院倫理委員会の承認を得た。【結果】ベストオブ解除対象者は各月1 ~ 2 名、年代は50 ~ 90 代の合計12 名。前半では主に解除困難症例、後半では早期解除症例が挙がった。認知力低下や意識障害、せん妄を呈し、安全確保と生命維持に必要な医療行為維持の目的で拘束が開始されていた。解除につながった取り組みでは、整容やコミュニケーション、ベッドサイド記録等のベッドサイドケアが最多で、他に不要なルート類除去や固定の工夫、環境調整、カンファレンス、チーム医療介入が挙がった。【考察】やむを得ず拘束を実施しなければならない状況にあっても、ベッドサイドケアを日常的に行い、「生活」を意識し寄り添うことが意識的に行われた。このことが、患者- 看護師間の信頼関係構築に繋がり、患者の心理的安定から解除に至ったと考える。解除困難症例に対しては、チーム医療介入が効果的であった。他スタッフの解除をきっかけに、取り組みが促進された例もあり、解除困難症例であっても解除は可能という自信に繋がった。称賛での振り返りは、抑制解除へ取り組む看護師の意欲向上に繋がった。経過を振り返り知識を共有したことで、解除への意識やプロセスがチーム全体に定着し、早期解除や解除時間の延長へ繋がったと考える。拘束は早期に解除していこうという意識がチーム全体の共通認識となり、看護師は成功体験を通し本来あるべき看護に気づき、「看護師の解除への意識向上」と「拘束の低減」に寄与できた。