第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演17群 住み慣れた地域に戻ることへの支援

2023年9月30日(土) 10:30 〜 11:30 口演会場2 第7会場 (1004+1005)

座長:小野 五月

[口演O-17-2] 退院支援ファイルの運用で在宅療養の視点を持った関わりをめざす

桐野 由美子, 新垣 さと子 (清恵会三宝病院)

キーワード:退院支援、在宅療養、多職種カンファレンス

【目的】A 療養病棟は病棟経験1 ~ 3 年目の看護師が半数を占め、退院支援の経験は殆どなく、院内外の多職種カンファレンスの場を持ちながらも退院後をイメージした退院支援が行われていない状況がある。今回作成した退院支援ファイルの運用により在宅療養の視点を持った関わりへ変えられるかを明らかにする。【方法】1. 期間 2022.5.1 ~ 2022.8.31 2. 対象 病棟看護師14 名、看護補助者11 名 3. 方法 退院支援ファイル(以下、ファイル)の運用 ファイルは表紙、MSW 面談記録、シート(a 退院支援情報共有 b 多職種カンファレンス内容 c 退院支援計画・実施)の構成とする。シートa は受け持ち看護師、シートc の実施は看護師、看護補助者が記入。ファイルは閲覧や記入できる状態にする。多職種カンファレンス初回後、受け持ち看護師がカンファレンスを行いシートc の退院支援計画を立案、その実施評価をする。多職種カンファレンス当日は日勤リーダーがファイルを持参しシートbに記入する。退院支援に関するアンケート(看護師、研究前後)ファイルに関するアンケート(病棟スタッフ、研究後)を実施。4. 分析方法 アンケートの単純集計及び比較 5. 倫理的配慮 対象者へ発表に関する自由意志の承諾を得る。データは特定されないように扱い研究発表後、破棄する。【結果】回答率100%。退院支援が難しいと思う理由に方法が分からないとした看護師は14 名中7 名いたが0 名となり、受け持ち患者の退院後をイメージして関わることができているかで研究前、出来ていない57.1%が研究後0%となった。病棟でのファイル閲覧率は100%であり、ケアに活かせたかは88%であった。【考察】普段から多くのケアに関わる看護補助者との情報共有は、より退院後のイメージに繋がり協同しやすくなる。結果より、退院支援が難しいと関われなかった看護師もファイルの使用で、どのような状態になれば患者、家族の望む在宅療養ができるのかを考え具体的に関われるようになった。こうした在宅療養の視点を持った関わりへと変化したことは、これまで不十分であった退院支援プロセスの第2 段階、受容支援と自立支援が実践される傾向にあると推察する。今後もファイルの内容や運用を検討しつつ、看護師はチーム医療の中心的役割を認識し、多職種と共にその人らしい住み慣れた地域での生活が送れるよう支援する必要がある。