第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演18群 家族看護

Sat. Sep 30, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 口演会場2 第7会場 (1004+1005)

座長:加藤 久代

[口演O-18-1] 在宅でがん終末期の親を看取ったシングル介護者の人生再構築プロセス

―喪失を体験した当事者の語りを通して―

奥田 弥奈1, 中島 民恵子2 (1.名古屋大学医学部附属病院, 2.日本福祉大学福祉経営学部医療・福祉マネジメント学科)

Keywords:シングル介護者、在宅看取り後、人生再構築、がん終末期、M-GTA

【目的】在宅でがん終末期の親を看取ったシングル介護者が、喪失体験を経た後、その人らしい生活を続けていくことができるまでの人生再構築プロセスを明らかにする。今後、増加が見込まれるシングル介護者が親を看取った後、現在に至るまでの過程を明らかにすることは、がん看護や遺族ケア、多職種連携の一助になる。【方法】がん終末期の親と同居かつ自宅で看取ったシングル介護者(未婚者)3 名を対象に20××年×月、半構造的インタビュー調査を実施し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。対象者には研究の趣旨、匿名性の厳守を口頭及び紙面で説明し同意を得た。【結果】52『概念』を生成したあと15[ サブカテゴリー]、9 <カテゴリー>を生成した。ストーリーライン:在宅でがんの親を看取ったシングル介護者が人生を再構築していくプロセスは、親のがん発覚から看取りまでは<まさかの余命宣告><在宅看取りへの葛藤><在宅見取りの覚悟><親子だけの穏やかな看取りまでの日々>があった。看取り後から現在の生活までは<生活変化へ直面><新たな一歩を踏み出す><喪失への適応><もっていた力><悲嘆を緩和する対処>であった。看取り後<生活変化へ直面>したが、内に篭ることなく人生再構築プロセスへ踏み込むことができたのは<親子だけの穏やかな看取りまでの日々><もっていた力><悲嘆を緩和する対処>の3 つのカテゴリーが影響していた。各カテゴリーとバリエーション:各カテゴリーに属する概念を語りの具体例から示した。例えば、<在宅看取りの覚悟>に属する概念には『本人の思いを尊重した在宅療養の決心』があり、何よりも親の意向を尊重したことが語られた。【考察】在宅でがん終末期の親を看取ったシングル介護者の人生再構築においては、結果より3 つのカテゴリーが影響していたことが明らかになった。その一つである<悲嘆を緩和する対処>からは、介護経験を肯定的に意味付ける良好な親子関係、他者からの支援を受け入れることで一人ではないという自信につながる他者との関係性などによって支えられていると考えられた。そして、人生を再構築していくのには、紆余曲折を重ねながら<新たな一歩を踏み出す>ことと<喪失への適応>が相互に作用し合い、これからの自分の人生を生き抜いていくための過ごし方など、具体的で現実的な行動を既に起こしていることが特徴づけられた。