第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演18群 家族看護

2023年9月30日(土) 13:15 〜 14:15 口演会場2 第7会場 (1004+1005)

座長:加藤 久代

[口演O-18-5] クリティカル療域に緊急入室となった患者家族への看護の実態

―熟練看護師による関わりを通して―

渡部 美香, 田村 真由美, 横田 幸子, 酒井 恵 (市立大村市民病院)

キーワード:クリティカル領域、緊急入室、熟練看護師

【目的】熟練看護師が行っている家族が落ち着きを取り戻すための関わりについてクリティカル領域の経験年数別に明らかにする。【方法】2021 年9 月~ 10 月にA 病院HCU 病棟の熟練看護師16 名を対象にクリティカル領域の経験年数別に患者家族に対する関わりについて、半構造的面接法(14 項目)を実施。調査項目は、患者家族が落ち着きを取り戻すための看護師のアプローチ方法を先行研究の6 項目より1)労いの言葉、2)医師からの説明(以下IC とする)の補助の2 項目を抜粋、研究者間で3)タッチングによる関わり4)看護師の役割分担5)挨拶と自己紹介の方法の3 項目を加え合計5項目を設定した。A 病院倫理審査会の承認を得た。インタビューは同意を得た研究対象者に、個人が特定されないように個室でインタビューを実施。ボイスレコーダーに録音するため, インタビュー後の研究同意の撤回は困難であることを口頭と、文章で説明した。【結果】研究対象者及び回答者は16名。クリティカル領域の経験年数3 年以下5 名、4 ~ 6 年6 名、7 年以上5 名であった。1)は経験年数7 年以上で家族の状況を判断し、声かけのタイミングや必要に応じて沈黙の対応、その他の年数は共感や寄り添う姿勢であった。2)は経験年数共通でIC 後の理解や現状を受け入れる援助があり、7 年以上はIC の再調整もみられた。3)は経験年数7 年以上で言葉のオオム返しなど家族の感情の表出を促し他の年数は実施が困難であった。4)は経験年数7 年以上で患者、家族の状況で対応しており、その他の年数では経験年数が長い人に対応をお願いしていた。5)は経験年数7 年以上で最初に実施、他の年数は処置が落ち着いてからの実施であった。【考察】すべての項目で家族が落ち着きを取り戻すための関わりが行われていた。経験年数が3 年以下、4 ~ 6 年よりも7 年以上の看護師が、患者家族の状況や心情を経験値から視覚的に推察した関わりができており、IC 時には家族が十分に理解できずにいることを理解し、経験を通して関わりを行っていたと推察できる。また、家族の感情の表出を促すことで気持ちを落ち着かせる行動ができていたと考える。