第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演18群 家族看護

2023年9月30日(土) 13:15 〜 14:15 口演会場2 第7会場 (1004+1005)

座長:加藤 久代

[口演O-18-6] 悪性腫瘍手術待機中の家族への看護

―HCU 看護師の役割を考える―

横山 達也, 粳田 美芽, 岡本 夢生 (焼津市立総合病院)

キーワード:家族看護、手術待機、壮年期

【目的】悪性腫瘍手術を受ける壮年期の患者家族が、手術待機中にどのような思いや考えを抱いて待っているのか、家族の思いやニーズを明らかにする。【方法】期間:6 ヶ月間 研究デザイン:半構造化面接 研究対象:術後HCU に入室し悪性腫瘍手術を受ける壮年期患者の家族4 名。患者家族にインタビューガイドを書面で提示、会話を録音する旨を説明。手術開始1 時間以上経過したところでプライバシーが確保された個室で半構造的面接を実施。録音された内容から逐語録を作成。共通した内容をカテゴリー分けする。研究計画及び患者家族へのインタビュー等A 病院倫理委員会の承認を得る。研究への参加は自由であり、同意しなくても不利益がないこと、途中で参加を離脱できること、研究目的以外で結果の発表は行わないこと、データの厳重保管と一定期間後破棄すること、個人の匿名化について書面で同意を得る。【結果】対象者と患者の関係は親1 名、配偶者2 名、子1 名。76 個のサブカテゴリー、6 個のカテゴリーに分類。癌と告知された当初は〈淡々と疾患と治療を受け入れていく家族〉の様子がみられ、手術に至るまでには〈家族が想定した治療と実際の経過〉に違いがあり、〈治療が進んでいく中で変化していく家族の思い〉や〈病気がもたらす患者と家族の関係〉に前向きな変化がみられた。手術中の〈待ち時間を過ごすための家族が望む環境〉は様々であり、〈医師の説明が家族に与える影響〉は大きかった。【考察】先行研究では、家族は手術の進行状況を知りたいと望んでいたが、今回術中の情報提供の希望はなかった。手術を待つ多くの家族は、自身の心身に対する配慮を望み、待機中は今までの経過や患者への関わりを回想していた。また、一人で手術を待つことは心細く、心身共に配慮してほしいというニーズも明らかにされており、そのニーズも表現されていた。家族に寄り添い、想いの表出機会を提供することが必要である。そして、マッカバンの二重ABCX モデルをもとに手術を迎えた家族の危機的状況を鑑みると、前危機段階の終了、あるいは後危機段階に突入する可能性を潜めている時期といえる。看護師は、手術の結果次第で患者や家族が新たな危機を迎えるかもしれない状況下にあることを理解した上で、情報提供や理解度の確認、説明内容を一致させることが必要である。