第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演20群 疾病とともに暮らすことへの支援

2023年9月30日(土) 10:30 〜 11:30 口演会場3 第8会場 (1006+1007)

座長:雄西 智恵美

[口演O-20-3] 初回外来化学療法をうける患者の思いからみた退院前訪問の現状と課題

新宮 沙月, 服部 寿美恵, 小川 裕美, 酒井 恵 (市立大村市民病院)

キーワード:初回外来がん化学療法、退院前訪問、患者の思い

【目的】初回外来化学療法を受ける患者の思いを聞くことで、外来治療室看護師による退院前訪問の現状と課題を明らかにする。【方法】2021 年12 月~ 2023 年2 月の期間に、新規に外来で化学療法を受ける患者5 名を対象に半構造的面接法で実施した。調査項目は化学療法を受けた不安について明らかとなっている「通院治療への不安」「知らない看護師と接する不安」「緊急時の対応への不安」「治療環境への不安」「経済的な不安」を参考に独自に12 項目を設定。語られたデータを遂語録とし、質的帰納的にカテゴリー化し記録単位数を算出した。A 病院倫理委員会の承認を得て実施。本研究は個人が特定されないようにデータや資料は厳重に管理し機密の保持に努めた。研究への参加は自由意志とし同意書をもって同意を得た。【結果】対象5 名は(男性4 名、女性1 名)平均年齢は76.4 ± 3.14 歳であった。病名は胃がん、直腸がん、前立腺がん、下行結腸がん、乳がんであり、全員が告知を受けていた。インタビュー結果から抽出されたコードは84 個、「身体の変化に対する思い」「治療に対する意欲」「治療に対する不安」「家族の支え」「看護師への安心感」「治療環境への安心感」「わかりやすい退院前訪問」の7 個のカテゴリーに分類した。「身体の変化に対する思い」は、脱毛、手足のしびれ、体重減少の回答が多かった。「家族の支え」は、家族の支えが嬉しいなど家族の支えにより前向きな気持ちが聞かれた。「わかりやすい退院前訪問」は、退院後の生活についての説明はわかりやすいなど改善してほしいという意見はなかった。【考察】「身体の変化に対する思い」では、患者が副作用症状を理解しセルフケアを行ない、治療が継続できるよう患者の生活に合わせた副作用対策の方法を指導し、援助していくことが大切である。「家族の支え」では、患者にとって家族の存在は大きく、治療や闘病に対する意欲に繋がっていると考える。家族の不安も軽減できるよう関わり、患者の治療への意欲向上に繋がる支援を行いたい。「わかりやすい退院前訪問」では、実際に治療環境を見ることで、外来化学療法のイメージが具体化され、治療環境に対する不安を軽減するために有効であった。今後は家族の協力を得ながら、家族同伴で退院前訪問を行うことを検討し、家族の思いや不安などの表出の場を設け、家族も含めた支援を行っていきたい。