第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演23群 質の高い看護人材を育成する教育③

2023年9月30日(土) 10:30 〜 11:30 口演会場4 第9会場 (1202)

座長:西田 頼子

[口演O-23-5] A 看護協会支部が新人看護師の多重課題研修を実施する意義と効果

田嶋 まさ子1, 出水 要子2, 本舘 教子3, 坂下 聖加子4, 佐藤 慎子5, 宗像 弘美6, 小林 聡美7, 杉山 ゆみ子8 (1.帝京大学医学部附属溝口病院, 2.川崎市立川崎病院, 3.聖マリアンナ医科大学病院, 4.麻生総合病院, 5.川崎市看護協会, 6.川崎市立井田病院, 7.中原区役所地域見守り支援センター, 8.川崎幸病院)

キーワード:新人教育、多重課題、多重課題研修、支部研修

【目的】2004 年に示された「新人看護職員の臨床実践能力の向上に関する検討会」で業務密度の高まりとともに増加している多重課題への対応について、基礎教育で身につけることは困難との指摘があり、臨床側が行う卒後研修に言及された。(厚生労働省、2004)しかし、時間や教える側のリソースの関係上、院内研修ができない施設もある。多重課題業務は、複数の患者に対応する上での優先順位の判断、予定の変更、報告・相談といった場面で発生していることが多く、不適切な対応が医療事故発生リスクにつながる可能性もある。その為、新人にとっては複数の患者に異変が起き切迫した状況の中、何を優先しどのように対応するか学ぶ研修は意義がある。その為、本研究は、A 看護協会支部が新人の多重課題研修を実施し、その意義や効果について検討することを目的とした。【方法】A 看護協会支部が実施した研修に参加した研修生のうち、新卒新人看護師7 名を対象とした。新人教育や多重課題研修について独自のインタビューガイドにて半構成面接を行った。また、病院の規模、A 看護協会支部での多重課題研修の継続、研修参加の動機等についてアンケート調査を行った。インタビュー結果は、類似性と相違性を検討しながらカテゴリー化し質的に分析、アンケート結果は単純集計した。対象者には研究目的等を伝え書面で同意を得た。又、本研究はA 病院の倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】語られた内容から< 新人も戦力とされている組織風土><参加動機><多重課題支部研修><新人看護師の特性>の4つのカテゴリーに分類した。アンケート結果は、院内で多重課題研修があると回答した人は7 名中1 名。支部での多重課題研修の継続は全員継続したほうがよいと回答した。【考察】臨床では、業務が第一に優先され、新人教育が後回しとなる場合がある。また、その必要性は理解していても、時間や教える側のリソースの関係上できない施設もある。しかし、新人は「対人関係の低さ」や「臨機応変な対応が苦手」「行動と知識が伴わない」「予測した行動が苦手」等の特性が明らかとなった。そのため、組織に留まらない院外研修の必要性が示唆された。