第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演23群 質の高い看護人材を育成する教育③

2023年9月30日(土) 10:30 〜 11:30 口演会場4 第9会場 (1202)

座長:西田 頼子

[口演O-23-6] 在宅移行期の同行訪問とリフレクションを用いた病棟看護師の在宅を見据えた看護実践力向上への取り組み

林 浩子, 大下 祐子, 岡本 真由美 (山口県済生会下関総合病院)

キーワード:在宅移行期、同行訪問、リフレクション

【目的】急性期医療を担うA 病院の病棟看護師が、在宅移行期の患者の訪問看護に同行し、得た気づきを病棟カンファレンスで伝達し振り返ること(以下、リフレクション)で、在宅を見据えた看護実践に変化があるかを明らかにする。【方法】対象者:訪問看護を導入した患者の病棟看護師8 名。期間:令和3 年7 月~令和4 年6 月。同行訪問前に、山岸らの「在宅の視点のある病棟看護の実践に対する自己評価尺度」(以下、質問紙)を用いて対象者に調査を実施した。退院後2 週間以内に対象者が訪問看護に同行した。同行訪問1 ヶ月後に、訪問看護師と共に対象者がリフレクションを行った(以下、介入)。リフレクションの内容から逐語録を作成した。逐語録は意味内容ごとに分けて要約し、カテゴリー化した。介入から2 ヶ月後に再度質問紙調査を実施した。介入前後の質問紙調査の結果は項目別に単純集計を行った。倫理的配慮:対象患者及び看護師に匿名性を遵守すること、データは研究目的以外に使用しないこと等を説明し、書面で同意を得た。【結果】対象看護師の平均経験年数:11.5 ± 7.5 年。質問紙尺度のリッカートスケールの1 ~ 3 点を実践していない群、4 ~ 6 点を実践している群に大別し比較した。「退院後の療養環境に合わせた患者・家族指導の実施」では、介入後に実践している群が全ての項目で87.5%以上であり、上昇していた。「地域の医療者との連携」では、介入後に実践している群は5 項目中4 項目が50%以下であり、低い傾向にあった。逐語録より、<必要な支援の把握><患者・家族の意向の確認><自宅で継続できるケアへの転換><多職種連携の促進><スキルアップへの動機づけ>の5 つのカテゴリーが抽出された。【考察】病棟看護師は同行訪問を通して、<必要な支援の把握>の重要性に気づき、<自宅で継続できるケアへの転換>をすることで、「退院後の療養環境に合わせた患者・家族指導の実施」ができたといえる。<多職種連携の促進>が必要であると理解しながらも、「地域の医療者との連携」が低い傾向にあることは、A 病院で地域とのサービス調整を行うのは退院支援部門が多く、病棟看護師が直接連絡を取り合う機会が少ないためと考える。今後同行訪問やリフレクションを繰り返し行うことで、在宅を見据えた看護実践力の向上に繋がると考える。