第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演6群 看護の質向上のための取組み

Fri. Sep 29, 2023 3:00 PM - 4:00 PM 口演会場2 第7会場 (1004+1005)

座長:大江 理英

[口演O-6-3] 安全な内視鏡治療を提供するための取り組み

―治療前訪問における観察項目の標準化を目指して―

岸木 あゆみ, 藤田 麻美子 (北里大学病院)

Keywords:治療前訪問、観察項目、鎮静、リスク因子

【目的】上部内視鏡的粘膜下剥離術において、内視鏡看護師が治療前日に行っている治療前訪問における患者状態のアセスメントに個人差が生じていた。安全な内視鏡治療を提供する仕組みの一貫として、今回治療前訪問における患者状態の観察項目を明らかにしたため報告する。【方法】1. 期間:2020 年4 月~ 2023 年1 月、2. データ収集:1)看護師による話し合いを通して、これまで実践してきた治療前訪問の観察内容の聞き取りを行った。2)医師とブリーフィングで共有すべき観察項目を検討した。3)事例毎に観察内容とブリーフィング内容、治療の結果について、記録から情報収集した。3. 分析:データ収集の内容から治療前訪問において必要な観察項目の内容を抽出し、業務に携わる複数名で分析した。4. 個人が特定されないよう匿名性に配慮した。【結果】方法2のデータ収集方法別に結果を示す。1)治療前訪問の内容を繰り返し話し合った結果、表情や言動など精神面の観察は必要な観察項目であった。加えて「患者の体格・体型」「過去の鎮静歴」など鎮静に関連した観察項目も必要な項目として抽出された。2)医師とブリーフィングで共有すべき観察項目を検討した結果、「過去の鎮静困難な状況」「抗血栓薬の内服状況」「アレルギー」「睡眠時無呼吸指摘/ 睡眠時無呼吸症候群」が必要な項目として抽出された。3)事例毎に記録から評価した結果、「前回の鎮静時に呼吸抑制があったという内容をブリーフィングで共有したことで患者状況に合わせて安全な鎮静ができた」「訪問で永久気切孔という情報からブリーフィングで共有し、急変時の対策を検討できた」などの報告があった。以上の結果より、治療前訪問における患者状態をアセスメントするために必要な観察項目は、鎮静に伴うリスク因子であり、具体的には「気道・呼吸」に関する情報、「鎮静困難歴」に関する情報であった。【考察】安全な内視鏡治療を提供するためにリスク因子を抽出し、対策を検討することは重要である。本結果より、治療前訪問における患者状態の観察項目が明らかになった。今回標準化された観察項目は、主に鎮静に伴うリスク因子を抽出するための項目であり、安全な内視鏡治療の提供に繋がると考える。今後は、今回標準化された観察項目を活用した治療前訪問の実践と、その情報をブリーフィングに繋げていくことでより安全な内視鏡治療の提供を目指していきたい。