第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演8群 ポストコロナ社会の看護への示唆①

2023年9月29日(金) 13:15 〜 14:15 口演会場3 第8会場 (1006+1007)

座長:原 理加

[口演O-8-2] コロナ病棟でのレッドゾーン滞在による看護師の心身への負担の実態

島田 久美, 西原 安友美 (JR 広島病院)

キーワード:COVID-19、レッドゾーン、PPE、看護師、心身への負担

【目的】コロナ病棟において感染予防を重視した看護の継続のため、看護師の心身への負担の実態を明らかにする。【方法】調査期間:令和4 年9 月1 日~ 12 日。対象:令和4 年1 月~ 3 月末のコロナ病棟勤務看護師25 名。研究方法:新谷恵理子らの先行研究で得られたCOVID-19 患者看護に携わった看護師の心理的特徴を基に、独自に作成した項目を追加し、ケア・業務について14 項目、身体面について18 項目、心理面について18 項目の心身への負担アンケート(択一法、リッカート尺度5 段階、自由回答)を実施した。分析方法:単純集計、記述集計にて、一般病棟との負担感の比較、レッドゾーン滞在時間による負担感、心理的特徴を分析した。倫理的配慮:協力者には研究参加は自由意志、匿名性の保持、廃棄方法等説明し同意を得た。【結果】アンケート回収率80%、有効回収率80%。全てのケア・業務項目で、一般病棟勤務時と比較し負担に感じていた。身体的トラブルを生じた個人用防護具はN95 マスクが30%と最多、「発汗や疲労などにより集中力低下を感じた」が75%であった。レッドゾーン連続滞在は60 分で長時間と感じ始め、120 分で100%が長時間と感じていたが、最長連続滞在は120 分以上が90%であった。心理的負担では、「外出の自粛に関わる複雑な思い」が高く、先行研究と大多数で同様の結果が得られたが、「協働しながら実践できているという思い」もあった。【考察】個人用防護具装着での看護活動を負担に感じつつも、レッドゾーン連続滞在時間が長時間となっており、感染リスクに晒されながらも職務の責務を果たしていたと考えられる。「大人がなんとか集中できる限界の時間は90 分」といわれている。集中力低下を感じていることや、連続滞在を120 分以上で100%が長時間と感じていることからも、レッドゾーン滞在は90分以内が望ましいと考える。心理的負担について、先行研究(感染者数増加の第2 波)と本研究(第6 波)で大多数の項目同様の結果が示された。長期間に渡り平時の職業ストレスに惨事ストレスが加わり続ける中、発散方法は限られていたことが窺える。一方で、「協働しながら実践できているという思い」があり、チームとして協力し合えていたことから、看護師への二次感染予防のためレッドゾーン連続滞在時間を90 分以内と設定する、その課題達成が可能であることが示唆された。