第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演9群 ポストコロナ社会の看護への示唆②

Fri. Sep 29, 2023 3:00 PM - 4:00 PM 口演会場3 第8会場 (1006+1007)

座長:須東 光江

[口演O-9-1] 新型コロナウイルス感染症中等症・軽症者病床の現状

―病床稼働時から勤務する看護師の思い―

水野 尚美, 原 千加子, 大木 法子 (長崎百合野病院)

Keywords:新型コロナウイルス感染症、半構成化インタビュー、看護師の思い

【目的】新型コロナウイルス感染症対応病床(以下特床)を設置し、そこで勤務する看護師がどんな思いを持って勤務に望み看護を行ったのかを知り今後の示唆を得る。【方法】2021 年5 月~ 2022 年12 月、特床勤務経験のある看護師10名を対象とし「感染について」「看護について」「スタッフ間の人間関係について」「院内での偏見や差別について」などのインタビューガイドを作成し、半構成化インタビューを行った。インタビューは、個室で行い時間は30 分以内とし、対象者の了承を得てIC レコーダーに録音、逐語録を作成した。作成した逐語録から簡潔な一文としコード化、その後共通性や類似性に従って分類しサブカテゴリーとした。サブカテゴリー化したものを更に抽象化しカテゴリー化した。倫理的配慮については、研究者が所属する施設の倫理委員会の承諾を得て実施した。対象者には研究参加は自由であり参加の有無に関わらず不利益は被らないこと、得られた内容は本研究以外使用しないこと、個人が特定されるような情報は厳重に管理することを文章で説明、書面にて同意を得た。【結果】感染については3つのカテゴリーと11 のサブカテゴリーが抽出され、カテゴリーは「家族・友人へ自身が媒介になることへの不安」「個人防護具による安心感と着脱手順への不安」などであった。看護については、7 つのカテゴリーと16 のサブカテゴリーが抽出され、カテゴリーは「業務手順通りに業務が行えない現実」「個別的な看護が行え達成感が得られた」などであった。スタッフ間の人間関係については、2つのカテゴリーと5 つのサブカテゴリーが抽出され、カテゴリーは「良好な人間関係が維持できていたこと」「協力的で業務がしやすいこと」であった。偏見・差別については、2つのカテゴリーと5 つのサブカテゴリーが抽出され、カテゴリーは「特床での業務が見えないこと」「新型コロナウイルス患者への看護経験や知識不足」であった。【考察】特床看護師は特床業務において家族らの支えがあり使命感を持って業務を行なっていたと考える。また、手順通りに業務が行えないときでも、特床スタッフ全員で協力・工夫することで調整力を発揮し患者が重症化せず退院できたことに喜びや達成感を得ることができていたと考える。しかし、A 病院内の看護師から差別的な言動をかけられた特床スタッフがいたことから、特床での看護支援の可視化が必要と考える。