第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

ポスター

ポスター1 群 ワークエンゲージメントを高める

2023年9月29日(金) 10:15 〜 11:15 ポスター会場 (イベントホール)

座長:高木 仁美

[ポスターO-1-5] 特別支援学校で働く看護師のワーク・エンゲージメントと職場環境との関連

長谷川 由香1, 鬼頭 泰子1, 黄波戸 航2, 早川 りか3, 井上 寛子4 (1.佛教大学保健医療技術学部看護学科, 2.藍野大学医療保健学部看護学科, 3.武庫川女子大学看護学部看護学科, 4.広島国際大学看護学部看護学科)

キーワード:特別支援学校、看護師、ワーク・エンゲージメント、職場環境、医療的ケア

【目的】ワーク・エンゲージメント(Work Engagement、以下WE とする)とは、仕事に関するポジティブで充実した状態であり、「活力」・「熱意」・「没頭」によって特徴づけられる。本研究では、特別支援学校で働く看護師のWE と職場環境との関連について分析し、WE を高めるための対策について検討する。【方法】2021 年6 月末~ 8 月に全国の特別支援学校967 校の看護師を対象に郵送法による質問紙調査を実施した。内容は、基本属性、WE(日本語版ユトレヒト・WE 尺度短縮版を使用)、職場環境、関係性、情報共有、継続意向、協働体制である。WE と各項目を肯定または良好群、非肯定群または非良好群の2 群に分けWelch のt 検定を行った。調査への協力は自由意思であること、個人や施設は特定されないこと、回答は本研究以外に使用しないこと、質問紙の返信をもって同意したとみなすことを文書にて説明した。尚、本研究はA 大学の倫理審査委員会の承認を得た。【結果】質問紙の回答数は215 施設(22.5%)、511 人(回収率不明)であった。WE の合計と職場環境では、「給与に満足している」、「雇用形態に満足している」、「受け持つ医療的ケア児の人数は適切である」、「学内外の研修には満足している」、「看護師の専門性が発揮されている」、「特別支援学校での仕事に手ごたえを感じている」、の肯定群と非肯定群間に有意差が認められた。「継続意向」、「協働体制」の肯定群と非肯定群間にも有意差が認められた。関係性や情報共有では、「担任教員」、「学校長」、「教頭」、「学校医・医療的ケア指導医」、「保護者」等の項目で有意差が認められた。【考察】特別支援学校で働く看護師の課題として、専門性や役割分担の不明瞭さ、情報共有や相互理解の難しさが報告されている(泊ら、2012・菅野ら、2018)。本研究でも、特別支援学校で働く看護師の専門性の発揮、仕事の手ごたえ、他職種者や保護者との関係性・情報共有がWE と関連していた。加えて、給与の満足度や雇用形態の満足度もWE と関連が認められた。特別支援学校で働く看護師のWE を高めるには、看護師が他職種者や保護者と情報共有ができ、専門性を発揮し、仕事に手ごたえを感じられるような体制の見直しが求められている。また、看護師が安心して働き続けられる、雇用環境を整備することも必要であると考える。