第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

ポスター

ポスター4 群 看護職の心の働きとその対処①

2023年9月29日(金) 10:15 〜 11:15 ポスター会場 (イベントホール)

座長:普照 早苗

[ポスターO-4-3] 認知症高齢者ケアにおける困難解決後の看護師の認識の変化

― 老人看護専門看護師のコンサルテーション前後の比較分析―

菅谷 清美 (滝川市立高等看護学院)

キーワード:認知症高齢者、ケアの困難感、解決、コンサルテーション

【目的】看護師が認知症ケアに困難さを感じていることは先行研究でも明らかである。しかし、困難さの解決が看護師に及ぼす影響については明らかではない。そこで、今回、老人看護専門看護師のコンサルテーション前後で看護師の認識を比較分析し、認知症ケアにおける困難さの解決が看護師にとってどのような意味があるのかを明らかにした。【方法】急性期病院にて認知症高齢者A 氏のケアで困難さを感じていた看護師を対象とし、コンサルテーション後、半構造化面接法でインタビューを実施した。内容は「コンサルテーション前、A 氏のケアでどのようなことが気になっていたのか」、「コンサルテーション後、A 氏のケアでは何を意識してケアを行っていたのか」である。結果を逐語録に起こし、コード化、サブカテゴリー化しカテゴリー形成を行い、さらに、コンサルテーション前後で比較分析を行った。研究対象者には、研究目的や方法、データの匿名性と保護、結果公表、協力の任意性と撤回の自由について文書で説明を行い承諾を得た。【結果】対象属性は、看護師3 名(女性)、年齢は20 代~ 30代で平均年齢は28.7± 6.6、看護師経験平均年数は7.7 年であった。インタビュー結果は、カテゴリーを< >サブカテゴリーを「 」コードを( )で示す。コンサルテーション前、看護師は(怒ってしまうのではないか)と「患者の反応に対する不安」や(ケアが上手く出来ないのではないか)など「ケアの困難感」や「不全感」を感じており<自身の行為に気がかり>を示していた。一方、看護師は「認知症の症状を理解しよう」としていたが「忙しさが気になる」ため、「ケア方法の探求の停止」を行っていた。コンサルテーション後、看護師は「モチベーションの向上」につながり「看護の楽しさを実感」していた。その体験は、<看護のやりがい>につながっていた。また、「患者との関係性を再構築しようとする意思」がみられ、<患者への関心>を示すしていた。さらに、(痛みに配慮しなくてはいけなかった)(他の患者でも、もっとこうすれば良くなる)など<自己内省を行い新たな看護実践の示唆>を得ていた。【考察】看護師にとってケアの困難感の解決は、関係性を再構築させようと自分から患者へと関心の向け方を変化させていた。さらに、ケア方法の探求を停止していたが、看護のやりがいを見出し、自己内省から新たな看護実践の示唆を得ていた。