第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

ポスター

ポスター7 群 看護の質向上のための取組み②

2023年9月29日(金) 10:15 〜 11:15 ポスター会場 (イベントホール)

座長:李 錦純

[ポスターO-7-2] A 病院における周産期メンタルヘルスケアにおけるスクリーニングの現状と課題

米倉 紀子, 小林 美和, 山辺 里紗 (大分県立病院)

キーワード:周産期、メンタルヘルス、スクリーニング、EPDS

【目的】A 病院における妊婦メンタルヘルス質問票で精神的ハイリスクとなった妊婦の産後退院時、および1 か月健診時のエジンバラ産後うつ病質問票(Edinburgh Postnatal Depression Scale:以下、EPDS)との関連や継続看護の現状と課題を検討する。【方法】A 病院で2019 年1 月から2020年12 月までに分娩した919 名を対象に、産婦人科診療ガイドライン産科編2020 をベースにB 県が作成した8 項目からなる妊婦メンタルヘルス質問票(以下、質問票)を実施した。質問票で1 項目以上リスクが見込まれた者をリスク群、リスクがなかった者を非リスク群とし、2 群間の年齢、分娩様式などの属性や分娩産褥経過など12 項目の背景因子と、産後継続看護、精神科受診、電話訪問の有無を比較した。また質問票の8 項目と、退院時、1 か月健診時のEPDS 高得点群(9 点以上)、低得点群(8 点以下)を比較した。分析はSPSS Statistics24を使用しMann-Whitney U 検定、χ2検定を行った。A 病院の倫理委員会の承認を得て実施した。対象者に本研究の目的以外では使用しないことを説明し、データはコード化し厳重に管理した。【結果】リスク群326 名(35.5%)、非リスク群593 名(64.5%)であった。リスク群では「初産」と「母体搬送入院」に有意差を認めた(p < 0.05)。質問票のうち「心の調子」「精神科既往歴」「精神科現病歴」「気分の落ち込み」「興味関心消失」「神経過敏」「不安強迫症状」は、退院時と1 か月健診時のEPDS 高得点との間に有意差を認めた(p < 0.01)。リスク群は産後継続看護、精神科受診、電話訪問との間に有意差を認めた(p < 0.01)。【考察】初産と母体搬送入院は妊娠期のメンタルヘルスに影響を及ぼし、質問票のうち7 項目は産後うつ病のリスク因子であることが明らかとなった。質問票と産後EPDS 高得点との間には関連があり、産後うつ病のスクリーニングとして有効である。リスク群は産後継続した支援を行う頻度が有意に高い。質問票の聞き取りを行うスタッフのスキルアップやアセスメントツールの活用が課題である。