第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

ポスター

ポスター7 群 看護の質向上のための取組み②

2023年9月29日(金) 10:15 〜 11:15 ポスター会場 (イベントホール)

座長:李 錦純

[ポスターO-7-4] 認知症を有する入院患者へのBPSD + Q(認知症の行動・心理症状質問票)を用いた看護介入の試み

比嘉 弥生, 福島 さや, 岳下 晶子, 勝野 久美子 (長崎北病院)

キーワード:BPSD+Q、認知症、カンファレンス

【目的】一般病棟において認知症を有する患者が入院した場合、身体疾患や環境の変化等から、BPSD(認知症者の行動・心理症状)を起こしやすい。入院中に発症するBPSD を捉え、看護介入に活かすことを目的に、入院患者にBPSD + Q(認知症の行動・心理症状質問票)による評価を試みた。BPSDの現状と評価の有用性について考察した。【方法】入院初期にBPSD を有する患者11 名に対し、BPSD + Q(27 項目)各項目の重症度と負担度を評価した。項目の出現頻度、重症度・負担度の平均得点、負担率(症状に比した負担度の高さをみるため「負担度得点/重症度得点=負担率」とした)を比較した。2 事例のBPSD + Q による評価、看護介入について検討した。病棟看護師21 名を対象にBPSD + Q の活用について質問紙調査を行い有用性について考察した。倫理的配慮として、対象者に研究目的・方法を説明し同意を得た。データ管理においては、個人の特定ができないようコード化する等個人情報の保護に努めた。【結果】BPSD + Q のうち出現頻度が多かった項目は「やる気がない、自分からは動かない」「日中うとうとする」「異食や過食、拒絶」であった。重症度得点は「声かけに反応がない、興味を示さない」「部屋・家から出たがらない」「介護されることを拒否する」が高く, 負担度得点は「こだわって同じ行為を何度も繰り返す」「介護されることを拒否する」が高かった。負担率は「家/施設から出たがる」「こだわって同じ行為を何度繰り返す」が高値であった。事例A はBPSD + Q で「やる気がない、自分からは動かない」「異食や過食、拒絶」等を確認した。食習慣とBPSD の関連について話し合い、嗜好を考慮した食事介入が提案された。事例B は「うろうろする、不安そうに動き回る」「忘れて同じことを何度も尋ねる」を確認した。不安の背景を話し合い、自尊心に配慮した行動の見守り方、文字での情報伝達等の介入が提案された。質問紙調査では、9割の看護師がBPSD を捉えやすくなった、8割が看護介入の参考になったと回答した。【考察】BPSD の出現頻度や重症度得点が高かったのは、無反応、傾眠傾向等低活動の項目であった。負担度は常同行動やケアの拒否、負担率は無断外出に高い傾向がみられた。BPSD+Q を用いて評価することで、問題点が共有され、介入方法が提案されやすく、個別性のある実践に繋がる。