第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演19群 住み慣れた地域に戻ることへの支援①

2023年11月8日(水) 14:30 〜 15:30 第10会場 (G318)

座長:小泉 未央

[口演Y-19-4] 急性期病院で働く看護師の退院支援の現状から見えてきた課題

森川 香織, 大槻 和子 (イムス東京葛飾総合病院)

キーワード:退院支援、情報共有、カンファレンス

【目的】A病院は開院以降、退院支援をソーシャルワーカーがメインで行ってきた。同様に退院後に残る医療的問題がある患者についてもソーシャルワーカーがメインで行ってきた。看護師が退院支援に関わる事ができていない理由として、看護的視点のアセスメントが不足している現状にあり、退院後に行う医療処置の指導が充分に行えていなかった。患者の生活の場面に関わる看護師が自立に向けたアプローチを行うことは、患者や家族が安心して退院できることに繋がると考えた。急性期病院看護師による退院支援の現状を調査し、今後の課題が明らかになったため報告する。【方法】期間は令和3年5月から同年10月。退院支援の流れをイメージしやすい、施設から入院し同施設に退院する患者の支援を病棟看護師が担うこととした。対象は各部署のチームリーダー12人。分析はインタビュー調査を実施し回答の最頻値をもとに行った。倫理的配慮はA病院師長会倫理審査にて承諾後、対象が特定されることはない事、研究協力の有無により不利益は生じない事を説明しインタビューの回答をもって同意を得た。【結果】インタビュー結果より多かった項目として、1、施設との関りは「看護師間の情報共有不足により退院調整に時間がかかった」が35%。2、家族との関りは「入院により生じるADL低下への理解が得られなかった」が40%。3、退院支援を今より良くするために必要な事は「情報共有」が46%。4、今後部署で実践したい退院支援は「他職種カンファレンスの充実」が41%であった。【考察】患者や家族とのコミュニケーション不足や退院に必要な支援が不足することで、入院により生じる介護ケアや医療処置への理解を得ることが困難となる。患者や家族に退院後も残る介護や医療を受け入れてもらうために、必要な支援は何かを他職種がカンファレンスの場で情報を持ち寄り協議することが重要になる。カンファレンス内容を看護実践に活かし、患者の支援を行うことが安心した退院に繋がると考える。看護師はカンファレンスの重要性を理解し、情報を提供するための事前準備が必要である。そして受持ち看護師が不在の場合であってもチームで共有し、入院中の支援が途切れることのないよう自立に向けたアプローチをしていくことが重要であると考える。カンファレンスに臨むための事前準備と継続的な看護提供を実践するために情報共有方法の見直しが今後の課題である。