第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演2群 ポストコロナ社会の看護への示唆~感染対策~

Wed. Nov 8, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 第6会場 (G304)

座長:篠原 久恵

[口演Y-2-1] COVID-19病棟の混乱期におけるコーディネーターの導入についての考察

中村 奈々重, 佐藤 佐都美, 田辺 理恵, 河野 真理 (北里大学病院)

Keywords:COVID-19、コーディネーター、人員配置

【目的】A病院B病棟はCOVID-19専門病棟である。「COVID-19神奈川モデル」の重点医療機関として、院内外から多くの中等症患者を受け入れる為、患者数の増減に応じた人員配置の調整を行っている。人員の増減に対しB病棟の業務体制もフレキシブルに対応してきた。短期間での増員や感染防護衣の着用により、お互いの顔や名前、キャリアを把握する事に難渋し、適切な人員配置ができず混乱した。そこで人的資源を有効活用できスタッフが安心・安全に働けるシステムを構築できるよう、混乱の要因を明らかにし対処法を検討した。【方法】B病棟で働いたスタッフ全員に「働くうえで不安に感じていること」について自由記述式でアンケートを実施しクラスター分析を行った。アンケートは対象者が無記名、個別投函する方法により質問用紙を回収し、対象者の自己決定、匿名性の権利を保障した。【結果】アンケートを分析した結果、指揮命令系統、業務内容、精神面、労働環境の4つの要因が抽出され、その中で1番の要因は指揮命令系統であった。隔離された環境下でリーダー、メンバー間のコミュニケーションや業務調整が困難であった。困難の原因は、患者の急増に伴い、リーダーは医師や各部署の指示受けや家族の電話対応など業務が増え感染エリア内を巡視できないこと、メンバーは入院対応や処置で感染エリアから戻れないことが挙げられた。そこで調整役としてコーディネーターを導入した。コーディネーターはメンバーとブリーフィング、ハドル、デブリーフィングを行い、病棟全体とスタッフの動きを把握しタイムリーに人員の調整を行った。メンバーの相談役となり、患者の状態把握や緊急性の判断などを行いリーダーとの懸け橋となった。スタッフにはキャリアと習得済みの技術を自己紹介カードに記載してもらい見える化したことで、人員配置の調整に活用することができた。コーディネーター導入後のアンケートでは指示命令系統の不安が解消された。【考察】災害医療現場では災害コーディネーターが存在しており、圏域内の医療情報を集約・一元化し、医療資源の配分、収容医療機関の確保など医療救護活動などの統括・調整を行っている。COVID-19患者数の増加時の医療の混乱レベルは災害レベルと同様であると考えB病棟でも導入したことで、現場の問題点をタイムリーに抽出し、適切な対応が可能となり混乱を収拾する事が出来たと考える。