第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演2群 ポストコロナ社会の看護への示唆~感染対策~

2023年11月8日(水) 13:15 〜 14:15 第6会場 (G304)

座長:篠原 久恵

[口演Y-2-4] 体験型研修を通した標準予防策周知への取り組み

―カークパトリック評価モデルでの研修効果測定―

小山 覚士 (長浜市立湖北病院)

キーワード:標準予防策、体験型研修、カークパトリック評価モデル

【目的】標準予防策に関しての体験型研修実施による研修効果を明らかにし、今後の感染対策の一助とすることである。【方法】A病院医療型療養病棟に勤務する看護師26名、介護士7名、看護補助者8名、計41名を対象。調査期間は、2022年9月~12月である。従来の研修では、e-ラーニングや対面講義のみの研修であった。しかし、今回の研修では、実際に蛍光塗料の使用やシミュレーション体験を通して、手洗いや環境整備の大切さを体験型研修で実施した。本研究では、研修効果の評価に「カークパトリックの4段階モデル」を使用した。4つの段階は「反応・学習・行動・結果」であり、「反応」では研修参加者の満足度と理解度をアンケートにて評価した。評価にはCSAT指標を使用した。「学習」では、研修前後のテストで参加者の知識やスキルの向上を確認した。研修前後のテストは間隔尺度で、得点の有意差についてはt検定を行った。統計解析にはEZRおよびExcel2013を使用し、有意水準は5%とした。本来3.4段階も評価することが望ましいが検証期間と業務の特殊性から今回は1段階、2段階のみの評価とした。また職員への調査票には、調査の趣旨、個人は特定されないこと等を記した文章を明記し、調査票の回収をもって調査への同意とみなした。【結果】研修の満足度については、CSATスコアに当てはめて満足度は97%となった。従来の研修と比較した理解度については、推奨者の割合が95%であった。研修前に実施したテストと研修後1カ月後に実施したテストを比較すると全体の得点平均は約20点以上差が見られた。検定結果についても全体と職種別に有意差が見られた。(T検定:p<0.05)【考察】体験型研修はカークパトリックモデルにおける反応と学習においては一定の効果はみられた。また、e-ラーニングのみではなく対面・体験型の研修と組み合わせて行うことで研修をより効果的にしていく必要があることが分かった。今回の体験型研修の実施では看護師だけでなく他職種にも一定の効果が示唆された。