第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演21群 健やかに生まれ育つことへの支援①

Wed. Nov 8, 2023 10:30 AM - 11:30 AM 第11会場 (G319)

座長:蛎﨑 奈津子

[口演Y-21-5] 手術室見学研修を取り入れた産婦人科病棟内で行われる緊急帝王切開術のシミュレーション教育の効果

玉井 由香, 河村 満紗, 上甲 亜矢, 米村 幸子 (山口県済生会下関総合病院)

Keywords:緊急帝王切開、手術室見学研修、シミュレーション、看護師、産婦人科病棟

【目的】産婦人科病棟で勤務する看護師に対して手術室見学研修を事前に行い、その後シミュレーション教育をすることで、病棟内での緊急帝王切開開始までの知識と技術、心理面がどのように変化するのか教育の効果を検証する。【方法】令和3 年9 月~令和4 年5 月。対象者:クリニカルラダー2以上取得の看護師14 名。独自に作成した自記式質問紙調査を用い、「患者入室前の部屋準備」「麻酔物品準備」「患者入室から麻酔導入まで」「麻酔導入から手術開始まで」の4 分類40 項目を手術室見学研修前(以下、介入前)、手術室見学研修後(以下、介入中)、シミュレーション教育後(以下、介入後)に記入してもらい、5 段階評定尺度(5 点= 100%できる~ 1 点=全くできない)で評価した。知識・技術・心理面の効果や課題は自由記載とした。分析方法はフリードマン検定を用いた。自由記載内容はコード化し類似性のあるものを関連付けた。所属施設の看護部倫理委員会の承諾を得て、対象者へ説明し署名にて同意を得た。【結果】病棟での緊急帝王切開術の準備経験は、9 名が1 ~ 5 回であり、5 名は経験がなかった。質問紙調査では39 項目で介入前から介入後に向け平均点は有意に上昇した(p < 0.01、p < 0.05)。自由記載では介入前は25 のコードから「知識不足」「手術準備対応時の気持ち」、介入中は27 のコードから「手術準備への理解」「イメージの具体化による気持ちの変化」、介入後は25 のコードから「実践能力向上」「知識の習得・向上」「気持ちの変化」「実践・学習への意欲」のカテゴリーが抽出された。【考察】介入前は経験回数が少なかったために、全ての項目に対して平均点が低かった。また、緊急帝王切開術準備のイメージが困難なため不安や自信のなさがあり、具体的行動の知識が不足している状態であった。手術室見学研修を取り入れたことで、手術が始まるまでの準備のイメージを具体化できた。さらにシミュレーション教育を行うことで、実際の場面を関連付けながら理解でき知識と技術の向上に繋がり、平均点が有意に上昇したと考える。また、介入により経験値が増え、自分の取るべき行動を明確化することで不安が軽減し、実践や学習に対する前向きな気持ちの変化に繋がったと考える。手術室見学研修を取り入れたシミュレーション教育は病棟内での緊急帝王切開開始までの知識と技術、実践への前向きな意欲向上に繋がった。