第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演22群 健やかに生まれ育つことへの支援②

2023年11月8日(水) 13:15 〜 14:15 第11会場 (G319)

座長:渡邊 典子

[口演Y-22-2] 帝王切開術の術後疼痛に対する看護

―術前オリエンテーションの関連性―

堀水 沙羅, 浦野 夏実 (東京都立大塚病院)

キーワード:帝王切開術、術前オリエンテーション、鎮痛薬、初産婦

【目的】1現行の術前オリエンテーションの内容を明らかにする。2帝王切開術を受ける妊婦に対して鎮痛薬についての説明を術前に行うことで、術後に我慢せずに鎮痛薬を使用できるかを明らかにする。【方法】1 オリエンテーションに関する調査では、看護職員24名を対象に、帝王切開術の術前オリエンテーションの内容と患者の個別性を判断するための情報について質問紙調査を行い、記述統計で分析した。2鎮痛薬の使用に関する調査では、予定・緊急帝王切開術を受ける初産婦を対象とし、予定帝王切開術の患者へのみ入院日に鎮痛薬についての術前オリエンテーションを行った。その後、両群に術後3日目に鎮痛薬使用についての質問紙調査を実施。予定帝王切開術群9名と緊急帝王切開術群13名の2群間で、鎮痛薬を我慢せずに使用することができたかχ2検定を行った。自由記述については量的内容分析をした。本研究はA病院倫理委員会で承認を得て実施し、対象者に文書と口頭で説明し承諾を得た。【結果】1 看護職員の87.5%が入院中のスケジュールや術当日の流れについて入院時に説明している一方、鎮痛薬について「必ず説明する」は25%にとどまり、「患者によって説明する」と答えたのは45.8%であった。看護職員は鎮痛薬について説明する時期を判断するために、患者の精神疾患の既往や質問の有無等の情報を収集していた。入院時以外に、術後帰室時や麻酔が切れた頃に鎮痛薬について説明するという回答もあった。2 鎮痛薬の使用に関する調査では、χ2検定の結果p=0.55で有意差がみられなかった。また、91.7%の看護職員は、緊急帝王切開術後に鎮痛薬について説明すると回答した。【考察】1 入院中のスケジュールや術当日の流れについては、全患者で共通した内容であることから殆どの看護職員が説明していた。その一方で、他の項目と比較して鎮痛薬について、入院時に説明する看護職員の割合が少なかった要因は、患者に適した説明の時期を看護職員がアセスメントしているためと推測された。2 鎮痛薬の使用に有意差がみられなかった要因は、術前オリエンテーションを受けていない緊急帝王切開術の患者に対して、9割以上の看護職員が鎮痛薬の説明をしていたためと考えられる。今回、予定・緊急問わず鎮痛薬について患者へ適切な時期に情報提供することで、患者が我慢せずに鎮痛薬を使用できる可能性が示唆された。