第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演23群 疾病とともに暮らすことへの支援①

2023年11月8日(水) 14:30 〜 15:30 第11会場 (G319)

座長:岡田 理津子

[口演Y-23-3] 予定外受診をした非がん呼吸器疾患患者のセルフケアの実態

阿座上 友里, 今澤 美由紀, 三輪 万佑子, 竹元 愛実, 田中 美知代 (山口大学医学部附属病院)

キーワード:非がん呼吸器疾患患者、予定外受診、セルフケア

【目的】慢性閉塞性肺疾患や間質性肺炎などの非がん呼吸器疾患は、疾患の進行に伴い呼吸障害の再燃のリスクを伴うため、症状の増悪を自覚した場合には予約外受診するか否かの判断などのセルフケアが重要である。今回予約外受診をした非肺がん呼吸器疾患患者のセルフケアの実態を明らかにし、受診行動を促進するための支援を検討することを目的とした。<用語の定義>受診行動の遅れ:呼吸疾患患者が行った予定外受診について医師2 名により受診行動が遅れたと判断されること。セルフケア:個人がより良い状態を得るために自分自身や環境を調整するための意図的に行う行動。【方法】期間:2021 年10 月~ 2023 年3 月。対象者:呼吸器・感染症内科に予定外受診した非がん呼吸器疾患患者。調査方法:無記名自記式質問紙調査及び診療録調査。調査内容:患者背景、慢性病者のセルフケア能力を査定する質問紙、セルフケアの状況。分析方法:受診遅れ群と遅れなし群の2 群に分け独立変数とし、背景、セルフケアについて比較分析を行った。統計分析はJMP pro16 を使用。本研究は山口大学医学部附属病院治験及び人を対象とする医学系研究等倫理審査委員会の承認を受け実施した。【結果】対象者は、男性29 名、女性32 名、平均年齢は68.1 ± 16.4 歳。運動機能と呼吸困難の程度から重症度を評価するHugh-Jones 分類は、1 度(11%)、2 度(38%)3 度(18%)、4 度(26%)、5 度(7%)であった。受診遅れ群30 名、遅れなし群31 名であった。受診遅れ群の83% は家族と同居しており、受診の判断は本人以外が行っていた(p < 0.001)。Hugh-Jones 分類、当日の緊急入院が有意に高かった(p < 0.001)。セルフケア能力については両群に差はなく、両群とも自身の症状や体調の変化について外来受診時には相談できていた。【考察】受診遅れあり群は重症度が高く、本人以外が受診の判断をしていることが明らかになった。患者自身で受診の判断が難しいことが予測され、受診遅れを予防するために、家族を含めた教育的な支援が重要であることが考えられる。また受診遅れにより緊急入院に至ったと考えられ、緊急入院は患者の計画的な健康管理を妨げ生活への影響も大きいため適切な受診行動は重要である。支援として家族を含め具体的な受診方法を繰り返し丁寧に説明し確認していく必要性が示唆された。