第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演24群 疾病とともに暮らすことへの支援②

2023年11月8日(水) 15:45 〜 16:45 第11会場 (G319)

座長:谷本 真理子

[口演Y-24-1] 頭頸部がん手術療法を受けた患者の退院後の口腔ケアの現状

畑 サヤカ, 京盛 愛枝, 佐々木 優子, 長谷川 理世 (福井大学医学部附属病院)

キーワード:頭頸部がん患者、退院後の口腔ケアの現状、口腔ケアに対する患者の認識度、手技確立の困難度

【目的】頭頸部がんの手術療法を受けた患者が退院後自己に合った口腔ケアを継続できているかのアンケート調査及び入院中と退院後の口腔内の現状を比較検討することを目的とした。【方法】対象は2022年4月1日~2023年3月31日に頭頸部がん手術療法を受け口腔ケアを自分自身で行う者とし、退院後初回外来時に無記名自記式質問紙調査とOHAT-Jによる口腔内の観察を行った。またカルテより退院直前のOHAT-Jのデータを収集した。属性、退院後に入院中と同じ口腔ケアができているかの有無、退院前後のOHAT-Jについて単純集計を行い、入院中と同じ口腔ケアができていない理由は自由記載とした。入院中と退院後のOHAT-Jの関連はWilcoxonの符号付き順位検定を行い、有意水準は5%とした。倫理的配慮は候補者に自由参加の権利、同意撤回の自由、個人情報とプライバシーの保護を説明し同意を得て実施した。【結果】対象者は17名、平均年齢68.8±8.5歳だった。入院中のOHAT-J合計平均点0.94点(最小0点、最大5点、中央値1.00点)、退院後のOHAT-J合計平均点1.29点(最小0点、最大6点、中央値0.00点)、入院中と退院後のOHAT-Jに有意差はみられなかった(z=-.412、p=0.680)。退院後口腔ケアを実施しない者はいなかった。入院中と同じ口腔ケアができている13名(76.5%)、できていない4名(23.5%)であり退院後のOHAT-Jと有意差はみられなかった。入院中と同じ口腔ケアができていない理由に「口腔ケアが難しい」、「しなくて大丈夫」、「きちんと食事をしていなかったから」、「面倒くさい」との自由記載があった。【考察】今回の対象者では入院中と退院後のOHAT-Jを比較したところ、退院後の著しい口腔内状態の有意な悪化はなかった。A病院では入院中に患者の口腔内の状態に合わせた口腔ケア指導を実施し、対象者全てが退院後口腔ケアを実施していた。しかし、2割以上の患者が退院後に入院中と同じ口腔ケアを実施できていない事が分かった。その理由に手技確立の難しさ、ケアに対する誤った認識、そして必要性の認識の低さが明らかとなった。今回の結果から、看護師は患者の口腔ケアに対する捉え方を確認し、患者の理解度に合わせて継続していける口腔ケアの指導内容を検討する必要がある。