第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演27群 意思決定支援

Thu. Nov 9, 2023 10:30 AM - 11:30 AM 第6会場 (G304)

座長:安齋 由貴子

[口演Y-27-1] 在宅療養者・家族におけるACPシートを用いた人生最終段階における意思決定支援

小林 佐也加, 北村 地春, 中村 洋之, 田岡 輝久, 岡田 節雄 (坂出市立病院)

Keywords:意思決定、アドバンスケアプランニング、在宅療養

【目的】地域包括ケアシステムでは、要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを、人生の最期まで続けることができることを目標に、在宅療養者自身の価値観をふまえて、希望する医療・ケアについて話し合うAdovance Care Planning(以下ACP)が重要とされている。今回、在宅療養に療養者の希望する医療・ケア・最期まで暮らしていきたい場所など訪問看護師が適切な意思決定支援ができることを目的とし本研究を行った。【方法】2022 年4 月から2023年3 月にA 病院で訪問診療・訪問看護を受けている自身で判断が可能な療養者及び家族を対象とし、ACP シートを用いて訪問看護師が療養者・家族の意向を確認した。得られた結果は記述統計として解析した。本研究にあたり、ACP シートはA 病院の倫理委員会の承認を得て使用開始し、得られた患者の情報は、個人が特定できないように配慮した。【結果】在宅療養者・家族69 例中48 例(70%)において、ACP シートが適用できた。希望や価値観において、療養者が最も重要視しているものとして、” 今の生活を長く続けていきたい”(25%)であった。また“ 車いすで散歩をしたい”、“ お日様に当たりたい” など、聴取した療養者の希望に対して、多職種と共有し、48 例中36 例(75%)で療養者の希望を尊重したケアを行うことができた。病状進行に伴う本人の意思決定が困難になった際の医療・ケアの代理意思決定者は、52% で同居する家族(配偶者・子ども)を選択した。死亡した20例において、17 例(90%)で、本人の希望を尊重した医療・ケアを行うことができた。最期まで暮らしていきたい場所として、15 例(75%)が自宅を希望し、13 例(87%)については希望通り、最期を自宅で迎えることができた。希望を尊重した医療・ケアの実現が困難であった3 例では、病状進行に伴う療養者の判断能力が低下したため、代理意思決定者の代理意思決定により、本人の意向とは異なる医療・ケアを行った。【考察】今回の研究は,単施設かつ比較群のない研究となったが、意思決定支援においてACP シートを通じて療養者・家族の意思・意向を簡便に把握・明確化できた。また多職種でその後の生活支援において積極的に介入できるきっかけとなったと考える。