第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演28群 周術期の看護①

2023年11月9日(木) 13:15 〜 14:15 第6会場 (G304)

座長:遠藤 篤也

[口演Y-28-2] 鎮痛剤追加投与を行った消化器開腹手術1病日患者の離床状況

市村 夏美, 森口 真千子, 大房 花菜子 (栃木県済生会宇都宮病院)

キーワード:鎮痛剤、離床、消化器開腹手術

【目的】消化器手術を受ける患者は、術後経静脈的自己調節鎮痛法や硬膜外麻酔等の持続鎮痛剤を投与しているが離床時に疼痛が出現し離床の妨げになることがある。今回、消化器開腹手術第1 病日患者の離床30 分前に追加で鎮痛剤を投与することでどの程度離床が促進するかを明らかにする。【方法】消化器開腹手術を受けた中で同意が得られた患者、医師からの指示に鎮痛剤の入力がある患者13 名を対象に、2022 年7 月~ 10 月に調査票を用いて調査した。生活自立度B、C ランクの患者、認知症・せん妄患者、意思疎通が困難な患者、鎮痛剤によりアレルギー歴のある患者、希望した場合に鎮痛剤を投与した患者は除外とした。離床距離の測定方法は棟内に5m 間隔で印を付け歩行距離の測定を行った。追加鎮痛剤投与を使用した患者(投与群6 名)と使用していない患者(非投与群7 名)の離床距離を50m 単位で区分けした人数の割合と投与群・非投与群のそれぞれの離床距離の合計を平均値として算出し比較した。倫理的配慮:研究参加は自由意思であり拒否できることを書面と口頭で説明し、同意を得た。離床は患者の状況に配慮し、患者が希望した場合は鎮痛剤を投与し、研究対象からは除外とした。さらに、A 病院看護部倫理委員会の審査を受け、承諾を得た。【結果】追加鎮痛剤投与がなく離床を行った患者の離床距離は0 ~ 50m が14.3%、50 ~ 100m が28.6%、100m 以上が28.6%、0m(歩行不可)が42.9% であった。鎮痛剤の追加投与を行った患者の離床距離は0 ~ 50m が33.3%、50 ~ 100m が0%、100m 以上が50%、記載なしが16.7% であった。投与群と非投与群を比較し、非投与群の歩行距離の平均値が107.5m、投与群の歩行距離の平均値が271m であった。また、非投与群では歩行できなかった患者が42.9%(3 名)、投与群では0%であり、鎮痛剤の追加投与を行った患者の離床距離が長い傾向であった。【考察】術後疼痛が生じるのは明らかであり、離床時に増大する。今回の研究により、非投与群と投与群で離床距離に差がみられた。このことから、離床における疼痛の軽減は患者のADL の上昇・術後合併症の軽減に繋がっていると考える。また、鎮痛剤の投与時間を歩行30 分前投与に統一することで、鎮痛剤の効果を十分に利用し離床を行うことができると考える。