第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演32群 家族看護

Thu. Nov 9, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 第7会場 (G312+G313)

座長:佐藤 律子

[口演Y-32-1] 在宅でがん終末期の親を看取ったシングル介護者が人生再構築までに必要な支援

─4つのソーシャルサポート分類より─

奥田 弥奈1, 中島 民恵子2 (1.名古屋大学医学部附属病院, 2.日本福祉大学福祉経営学部医療・福祉マネジメント学科)

Keywords:シングル介護者、ソーシャルサポート、内的資源、在宅看取り、がん終末期

【目的】在宅でがん終末期の親を看取ったシングル介護者が、喪失体験を経た後、その人らしい生活を続けていくことができるまでの人生再構築プロセスにおいて受けた他者との関わりや支援内容の分析を通して、シングル介護者に必要なソーシャルサポートについて考察し、今後の方策への示唆を得ることである。そのことは、今後、増加が見込まれるシングル介護者に必要な支援の提供に寄与できると考える。【方法】がん終末期の親と同居かつ自宅で看取ったシングル介護者(未婚者)3 名を対象に20xx 年x 月、半構造的インタビュー調査を実施し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。対象者には研究の趣旨、匿名性の厳守、参加を断っても不利益を生じないこと等を文書と口頭で説明し同意を得た。【結果】親のがん発覚から看取りまでと、看取り直後から現在の生活に至るまでの2 つのフェーズにおいて実際に得られた支援を、当事者の語りから情緒的・情報的・手段的・評価的の4 つのソーシャルサポートに分類した。親のがん発覚から看取りまでの情緒的サポートでは訪問看護師や友人の支え、情報的サポートでは制度や在宅医療者の助言、手段的サポートでは勤務調整や周囲の協力等であった。看取り直後から現在の生活に至るまでの情緒的サポートでは遺族訪問、情報的サポートでは亡くなる前の前兆、手段的サポートでは葬送儀礼に関すること等であった。いずれも評価的サポートについての発言はなかった。【考察】親と別居した経験がないことや自分の行く末を考え行動に移しているといった本研究のシングル介護者の特徴を踏まえると、看護師をはじめとした専門職が介入できるソーシャルサポートは、心情に寄り添う情緒的サポートを優先するよりも、情報的サポートと手段的サポートが必要であることが示唆された。それは、本研究のシングル介護者が、何十年と生きてきた中で築き上げてきた生活スタイルや価値観が尊重され、ある程度の距離を置いた関りの中で的確な助言と回答を期待していることが明らかになったためである。また、専門職は、在宅医療者の技術や親の尊厳を大切にする姿勢を基盤に、本研究のシングル介護者が内的資源として持ち合わせている力に配慮し、意識を向け、シングル介護者の価値観やニーズを尊重しながら、シングル介護者自らが力を発揮できるようなエンパワメントに繋がる介入が必要であることの示唆を得た。