第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演33群 業務改善に向けた取り組み

2023年11月9日(木) 14:30 〜 15:30 第7会場 (G312+G313)

座長:加藤 千恵

[口演Y-33-2] 国内医療施設における清拭タオルの使用・管理に関する実態調査

渡部 菜穂子 (弘前医療福祉大学保健学部看護学科)

キーワード:医療施設、清拭タオル、タオル管理、感染予防、清潔ケア

【目的】清拭に用いる綿タオルの細菌汚染を予防する必要性と予防方法の検討に関する基礎資料を得るために、医療施設における清拭タオル、特に再生使用綿タオル(以下、綿タオル)とディスポーザブル不織布タオル(以下、ディスポタオル)の使用・管理に関する実態調査を行う。【方法】研究対象は、全国8,236 の病院の中からランダムに抽出した800 施設とし、各病院の看護管理者または感染制御担当看護師1 名に無記名のWeb アンケートを依頼した。調査内容は、採用しているタオルの種類と採用時期・採用理由、綿タオルの洗濯方法やタオルの使い分け、加温方法、清拭剤の使用等である。分析方法はMicrosoft Excel を用いた単純集計を行った。倫理的配慮として、文書にて研究目的・概要、データ管理やプライバシー保護について説明し、アンケートの回答をもって調査協力に同意するものとした。【結果】回収数は168(21.0%)、有効回答率100%だった。タオルの採用については、綿タオルのみは53 施設(31.5%)、両方が51 施設(30.4%)、ディスポタオルのみは64 施設(38.1%)だった。綿タオルの採用理由は、多い順に「患者の心地よさ」「使用コストが低い」「リネン類をリースする契約上」であり、ディスポタオルでは、「感染予防」「看護師の使いやすさ」「使用コストが低い」であった。ディスポタオルの採用時期(n=115)は、2020 年以降27 施設(23.5.%)、2015 ~ 2019 年69 施設(60.0%)、その他19 施設(16.5%)であり、2020 年以降は、COVID-19 患者受け入れが採用理由として多かった。綿タオルの洗濯(n=104)は、業者委託が78 施設(75.0%)と多く、業者の回収頻度(n=78)は、毎日回収が23 施設(29.5%)、週3 ~ 4 回が20施設(25.6%)と多かった。【考察】2014 年に松井・深井が、清拭タオルへの一般細菌の付着と感染リスクに関する調査・報告を行なって以降、感染予防のためのディスポタオルの採用が進んだ。今回の調査でもディスポタオルを使用する施設がある一方、「患者の心地よさ」を理由に綿タオルを使用している施設が同程度みられた。そのため、安全で安楽な清拭を行うためにも、ディスポタオルへの変更のみならず、綿タオルの細菌汚染を防ぐ方法についても検討していく必要がある。