第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演38群 看護職の心の働きとその対処②

2023年11月9日(木) 09:00 〜 10:00 第9会場 (G316+G317)

座長:中野 敦子

[口演Y-38-2] 循環器病棟入院患者の治療選択の意思決定支援に対する看護師が直面する困難

川勝 香織, 森脇 みさお, 南田 喜久美 (京都九条病院)

キーワード:意思決定、慢性期看護、看護師、困難

【目的】循環器病棟入院患者の治療選択の意思決定支援に対する看護師が直面する困難とその理由を明らかにし、困難の克服に向けた課題を考察する。【方法】対象:A 病院循環器病棟に勤務する1 年目看護師を除く看護師22 名。方法:「意思決定支援の困難を感じる場面」「意思決定を困難に感じる理由」について4段階の選択回答式と自由回答式質問紙を用いてデータ収集を行った。選択回答式質問の回答に対しては、度数・百分率を算出した。自由回答式質問への回答に対しては、Berelson.B. の内容分析を用いた。倫理的配慮:研究対象者にプライバシーの保護について説明し、回答をもって同意とした。又、A 病院看護部の倫理審査で承認を得た。【結果】治療選択の意思決定支援について難しさを感じたことがあるかの質問に対して①いつもある< 1 名(4%)>②よくある< 17 名(77%)>③たまにある< 4 名(18%)>となっており、研究対象となった全員が治療選択に対する意思決定に対してなんらかの困難さを感じていることがわかった。困難を感じた場面では〔患者の認知力低下により意思確認ができない:13 記録単位(24%)〕〔患者と家族の双方が納得した意思決定ができていない:11 記録単位(20.3%)〕〔意思決定を誰がするかわからない:10 記録単位(18.5%)〕 等、7つのカテゴリが形成された。困難な理由としては<死について患者と家族で考えていない:6 記録単位(16.2%)><看護師の説明に主観がはいる:6 記録単位(16.2%)><看護師の知識や能力不足がある:6 記録単位(16.2%)><本人の意見が尊重されない:3 記録単位(8.1%)>等、12 のカテゴリが形成された。【考察】病態の経過や治療内容の知識が不足していること、なかでも認知症患者に対する理解や療養方法、社会資源についての知識をもつこと、院内や地域間の多職種の働きを調整できる能力が必要であることがわかった。また、患者や家族の思いを聞き出すためのコミュニケーション能力、思いを表出できる関係性の構築が必要と考える。急を要する場面や状態悪化時の意思決定が難しいことから、診断早期からの段階的な意思決定への介入が必要とわかった。看護師は意思決定の関わりに対して主観が入ってしまうことを懸念しており、チームカンファレンスを充実させ、多職種・多人数での関わりが必要であることがわかった。