第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演4群 ポストコロナ社会の看護への示唆~看護の改善への取り組み②~

2023年11月8日(水) 15:45 〜 16:45 第6会場 (G304)

座長:國枝 美代子

[口演Y-4-4] 新型コロナウイルス流行禍に行った元気づくり支援

―参加した地域高齢者が抱いた思い―

酒巻 みちる, 渡邉 咲江, 齊藤 友美, 関 知子 (土浦協同病院)

キーワード:地域高齢者、元気づくり、新型コロナウイルス流行禍

【目的】A健診センターでは、地域高齢者を対象に、元気づくりを目指した教室を開催していたが、新型コロナウイルス流行により2020年度から中止となった。教室に参加できず、元気を維持できないことが懸念されたため、以下3つの支援を2021年度から実施してきた。1.電話支援(スタッフと電話で会話を楽しむ)2.アプリを活用した支援(ウォーキングアプリに登録し互いに刺激し合う)3.個別支援(筋肉量測定と健康相談)、これらの支援を受けた教室参加者が、どのような思いを抱いたのか検証し、今後の教室運営につなげたいと考えた。【方法】1.対象者:3つの支援いずれかを受けた70名のうち、3つ全ての支援を受けた者とし、研究協力に同意を得られた年齢70~80代の男性4名とした。2.データ収集方法:インタビューガイドに沿ってグループインタビューを行い、ICレコーダーに録音した。3.データ分析方法:録音した音声データから逐語録を作成し、質的記述的方法を用いて、共同研究者4名で繰り返し分析を重ねた。また、質的研究に精通した、専門看護師のアドバイスを受け妥当性を高めた。4.倫理的配慮:研究倫理委員会承認のもと、全ての対象者に研究目的、方法等を説明し文書により同意を得た。【結果】対象者が抱いた思いは8カテゴリーに分類された。コード数を( )に示す。「人との関わりが歩く目標になり健康維持できる(30)」「教室再開への強い願い(26)」「スタッフからの電話を待ち望む(18)」「若い世代との関わりにときめく嬉しさ(18)」「スタッフから声をかけてくれるA健診センターと病院に対する愛着(18)」「スタッフの心がこもった関わりに対する賞賛(8)」「限りある寿命、人生を楽しみたい(7)」「このまま自粛で良いのかという葛藤(4)」【考察】高齢者にとって、馴染みのあるスタッフからの電話は、安心感があり、心から会話を楽しめたと考える。そのため電話を定期的にすることで、会いたい思いを募らせ、教室の再開を強く願っていた。また、お互いを応援する思いや、病院に対する愛着、スタッフに対する賞賛など、相手に対する思いを抱いていた。これらのことから、3つの支援により、互いを思い合う関係が維持され、元気づくりにつながったと推察される。今後、教室が開催できない状況の時は、タイムリーに今回の支援に切り替えられるよう、対応していきたい。