第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演40群 基礎教育①

2023年11月9日(木) 13:15 〜 14:15 第9会場 (G316+G317)

座長:田草川 純子

[口演Y-40-3] 地域・在宅看護論実習における学生の学びと連携支援の現状及び課題

越前 知子, 坂中 善恵 (富山市立看護専門学校看護学科)

キーワード:地域・在宅看護論実習、実習指導者、看護学生、役割、連携支援

【目的】地域・在宅看護論実習1 における学生の学びの現状を把握し、実習指導の実態から連携支援のあり方を明らかにする。【方法】3 年課程のA 看護専門学校1 年生40 名を対象に、実習記録より学びの内容を質的に分析した。その際、研究者間の協議及び実習教員による内容確認より妥当性を確保した。自記式質問紙を用いて、実習指導者11 名に実習指導の実際を5 段階評価及び理由で、同学生40 名に受けた実習支援を複数回答で調査し、記述統計により分析した。対象者には研究の趣旨と方法、匿名性の確保、自由意志の尊重、拒否しても不利益はないこと等を説明し承諾を得た。【結果】同意を得た学生35 名の実習記録の分析より、人々は<発達段階による健康観の相違>を持ちながら<個人の健康と社会生活とのつながり>を活用し<多様な価値をもつ暮らし方>を大切にしていることを学んでいたことが明らかになった。実習指導者10 名(有効回答)のうち医療職30%、他の職種70% であった。実習前の準備及び実習中の支援は70% ができたと回答した。学習内容の支援では医療職は100% ができたと回答したのに対し、他の職種では70% ができなかったと回答した。一方、学生31 名(有効回答)は支援を受けたと80%が回答した。【考察】学生の学びから実習目標は達成されており入学して間もない学生であっても、地域で生活する人々の理解は可能であることが示唆された。学生は人々と触れ合った直接的経験を実習記録にまとめることや実習指導者とのリフレクション、クラス単位での振り返りにより学習を深化させていた。直接的な経験ができる環境を整えるとともに反省的経験の過程が促進されるよう支援していくことが重要となる。本実習では看護職員が配置されていない実習施設が70%を占めており、実習指導者への支援に課題があった。実習支援を受けた学生のポジティブな認識及び学習到達度を実習指導者と共有することで、実習指導者が自身の実習指導に対し達成感や満足感を得られる可能性が推察された。教員は実習前には各実習施設の特性を活かした実習内容となるよう実習指導者と協議し、実習中及び終了には実習支援について省察する場を設けることが必要となる。また、教員と実習指導者それぞれの役割をオープンに話し合い協働することで、教員- 実習指導者間の連携が強化されるとともに学生の学習環境が整備されると考える。