第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演42群 新人教育

2023年11月9日(木) 09:00 〜 10:00 第10会場 (G318)

座長:坂中 善恵

[口演Y-42-2] 新人看護職員ローテーション制度下における「みんなで新人看護職員を育てる」組織風土の評価

鈴木 ひとみ, 前田 由美, 真木 智, 宇津木 努, 斉藤 律子 (山形大学医学部附属病院)

キーワード:新人看護職員ローテーション制度、業務支援、内省支援、精神支援、みんなで新人を育てる

【目的】複数部署で先輩看護職員(以下先輩)全員での新人看護職員(以下新人)の看護実践力の支援、新人個々の適性の確認を目的に、新人看護職員ローテーション制度を運用した。制度運用から5 年が経過し、新人支援に関する先輩の意識と言動、新人の認識を調査し、「みんなで新人看護職員を育てる」組織風土を評価し、より効果的な教育制度のあり方を考察する。【方法】対象者は、A 病院に所属する全看護職員。先行研究を参考に作成した「業務支援」「内省支援」「精神支援」に関する無記名自記式のアンケートを行った。アンケート各項目の結果を単純集計し、数値化できるデータはグラフ化し分析した。自由記載項目は、テキストマイニング手法を用い、KH Coder Version 3 を使用し分析した。研究参加者へ、研究目的、方法、参加は自由意志で拒否による不利益はないこと、個人情報保護について、文書で説明し書面で同意を得た。【結果】有効回答は新人35 名、先輩365 名。新人にとって「いつも/時々支援を受けている」は、業務支援99.5%、内省支援97.8%、精神支援78.5%であった。先輩の新人に対する「いつも/時々支援している」は、業務支援93.7%、内省支援92.5%、精神支援87.3%であった。全質問項目の「いつも/時々支援を受けている(支援している)」の割合は、業務支援、内省支援は先輩より新人の方が高く、精神支援は先輩の方が高かった。テキストマイニングで先輩・新人の共通言語として「看護・一緒に・考える・振り返る・話す」等が抽出された。支援の重要度は、新人は業務支援54%、精神支援37%、内省支援9%の順で、先輩は精神支援46%、業務支援32%、内省支援22%の順であった。【考察】新人と先輩の各項目に対する「いつも/時々支援を受けている(支援している)」の割合が高いこと、「看護・一緒に・考える・振り返る・話す」が共通言語として抽出されたことより、みんなで新人を育てる意識と行動があると考える。また、新人は精神支援より業務支援を重視しており、業務支援により、自立して安全に看護が実践できている自己肯定感と安心感が得られることで、同時に精神支援を受けている認識になると推察する。よって、先輩は業務支援を通し、抽出された共通言語を認識し、一緒に経験、実践する機会を与えることを、より意識した教育支援の必要性が示唆された。