第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演44群 継続教育②

2023年11月9日(木) 13:15 〜 14:15 第10会場 (G318)

座長:宮坂 佐和子

[口演Y-44-4] 看護師によるCVポート穿刺の教育

―タイムリーな医療提供を目指したタスク・シフト/シェアの取り組み―

宮坂 久美子1, 磯貝 エミ1, 三鬼 達人1, 相原 晶子1, 須釜 淳子2 (1.藤田医科大学ばんたね病院, 2.藤田医科大学保健衛生学部看護学科)

キーワード:タスク・シフト/シェア、研修、CVポート

【目的】タスク・シフト/シェアにおける看護師の役割として、タイムリーな医療提供が期待されており、看護師が安全に実践できる行為として、CV ポート穿刺が挙げられている。A病院ではCV ポート針の穿刺は医師が実施しており、点滴準備から実施までのタイムラグが発生していた。医師からのタスク・シフト/シェアとして看護師が安全にCV ポート穿刺を行い、タイムリーな医療提供の実現を目指すことを目的に掲げ、CV ポート穿刺研修を実施した。研修後にアンケート調査を行い、実際のタスク・シフト/シェアの状況などを評価した。【方法】2020 年6 月~ 2022 年11 月に研修会を開催。受講者は院内注射レベル3 認定者とし、事前学習として指定のe ラーニングを受講した。CV ポートの基礎知識の講義及びCV ポート穿刺演習を30 分間受講後、実技チェックを合格して修了とした。2023 年3 月に研修修了者及び研修未受講者に対しアンケート調査を実施した。倫理的配慮としてアンケートは個人が特定できないよう無記名で行い、アンケートの回答により本調査への同意が得られたものとした。また、院内の倫理審査委員会の承認を得た。【結果】研修修了者は81 名。2022 年10 月~ 2023 年2 月までの穿刺件数は316 件であり、そのうち看護師による穿刺は291 件(92%)、医師による穿刺は25 件(8%)であった。点滴準備が整ってから穿刺までの所要時間は、研修前は10 分以内が23%、21 分以上が43% であったのに対し、研修後は10 分以内が66%、21分以上が6% となった。CV ポート穿刺のトラブルは316 件中18 件であり、その内の16 件が滴下不良であった。CV ポート穿刺の不安は、ほとんど感じない4%、あまり感じない27%、どちらともいえない19%、感じる43%、とても感じる7% であった。【考察】看護師へCV ポート穿刺研修を行うことにより、それまではすべて医師が行っていたCV ポート穿刺の90% 以上を看護師へタスク・シフト/シェアすることができた。また、医師に穿刺依頼することなく点滴治療が開始できたため、患者の待ち時間軽減にもつながった。穿刺に関するトラブルも発生したが、トラブル等への対処を事前に学習することで安全に実施することができた。一方で穿刺に対する不安を50% の看護師が感じているため、研修修了後のフォローアップなどの体制を検討していく必要がある。