第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演48群 DiNQLを活用した看護の質向上①

2023年11月9日(木) 13:15 〜 14:15 第11会場 (G319)

座長:奥田 希世子

[口演Y-48-1] DiNQL ベンチマーク評価を活用した問題・課題の抽出と対策の実践

―不要な身体的拘束を減らす取組み―

米山 亨, 尾関 奈緒美, 田口 ナツミ (JA 愛知厚生連江南厚生病院)

キーワード:身体的拘束、三原則、カンファレンス、安全

【背景】
A 病棟は脊椎脊髄センターで、手術および保存療法を目的とした患者を対象としている。2021 年度7 月~ 9 月のレーダーチャートより、身体的拘束患者割合22.1%、転倒転落発生率6.1‰で、他の同規模病院と比較すると高かった。また、緊急入院51.2%、手術件数の割合54.3%と多く、身体的拘束延べ患者日数割合は16.7%、B 得点平均値一般病棟(Ⅱ)4.7 点、「診療・療養上の指示」一般病棟(Ⅱ)0.19 点ということから、介助を要し指示通りでない行動をとる患者が多い状況であった。75 歳以上の患者割合は52.3%で、「危険行動」一般病棟(Ⅱ)0.06 点という事から、術後の患者の安全性を優先して、予防的に身体的拘束が行われ行動制限されている事が関係していると考えた。
【取組み内容】
周術期の高齢患者と身体的拘束が、関係していると考え対策を検討、実施した。身体的拘束の三原則の知識の向上から行い、術後の身体的拘束実施患者に対して三原則に沿った評価、解除や代替案の検討を行い、不要な身体的拘束の減少に取り組んだ。
【結果・成果】
術後やむを得ず身体拘束をした患者45 人、計96 回(平均2.1回/ 1 人)について、不要な身体的拘束を19 件解除できた。2021 年度1 ~ 3 月のレーダーチャートよりA 病棟の経年変化を見ると、緊急入院件数の割合が73.6%と増えているが、手術件数42.7%と減り、身体的拘束患者割合は18.2%と減少している。手術件数の減少による効果の可能性は否定できないが、今回の取り組みにおいて、不要な身体的拘束を減らす成果はあったと評価する。
【今後への示唆】
術後の身体的拘束は安全性を理由に行われている傾向があり、三原則に沿ったカンファレンスを確実に行う事は、不要な身体的拘束を減少させる可能性を示唆する。また倫理的ジレンマを感じる場面も多々あると思われるため、倫理カンファレンスの充実も含め、今後も不要な身体的拘束の減少に取り組んでいきたい。

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