第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演48群 DiNQLを活用した看護の質向上①

2023年11月9日(木) 13:15 〜 14:15 第11会場 (G319)

座長:奥田 希世子

[口演Y-48-2] DiNQL を活用した部署の目標管理

―誤薬発生率の減少に向けた取り組み―

宮田 美加, 山根 映貴子 (藤枝市立総合病院)

キーワード:誤薬発生率、配薬・与薬、業務改善

【背景】
当院では部署の目標管理(バランス・スコアカード:BSC)にDiNQL データを活用している。当部署は脳神経外科、脳神経内科、歯科口腔外科、皮膚科の混合病棟であり、2022年度のBSC を検討する際に前年度(2021 年度)のDiNQL データを活用した。2021 年度のDiNQL データにおいて「誤薬発生率」が中央値以上であったことから、DiNQL データをもとに部署の現状を分析し、課題に取り組むことにした。
【取組み内容】
「2021 年すべてのアウトカムのレーダーチャート」より、「誤薬発生率」4.2‰を中央値以下にすることを目標値として設定した。この目標達成のためには自部署の現状把握が必要である為、まず「かんたんダッシュボード」の分析を行った。
当部署は「看護組織の状況」において「月間病床稼働率」90.9%と中央値より高く、「患者の状況」では「手術件数の割合」が22.5%、「緊急入院件数の割合」が67.6%と、共に中央値より高いことから多忙な病棟であることがわかる。また、「重症度、医療・看護必要度に係る評価票」の「B 得点平均値一般病棟Ⅱ」が5.5 点、「日常生活自立度ランクⅢ以上の患者割合」が15.6%と共に中央値より高いことから、ケア度の高い病棟であることもわかった。さらに「看護組織の状況」では、「与薬研修参加率」が47.2%と低く、新しい情報が得られていない可能性があることや、DiNQL 以外のデータからも、「6R 声出し調査」の結果において配薬・与薬がマニュアル通りに行えていない現状がわかり、「誤薬発生率」に関連しているのではないかと推測した。
この現状と課題を師長・主任・部署の医療安全を担うセーフティナース・チームリーダー間で共有し、2 点の対策を立て実施した。1 点目は配薬・与薬に関する知識や運用の再確認をするために、昼のカンファレンスでマニュアルの読み合わせをすること、2 点目に配薬はフリー業務の看護師が行い、受け持ち看護師が与薬するという業務改善をおこなった。
【結果・成果】
1.「誤薬発生率」は2.6‰と目標値である「中央値以下」となった。また、配薬と与薬の確認が別の看護師となることでダブルチェックが出来るようになり、インシデントレベル0 ~ 1の報告が多く出来るようになった。
2.受け持ち看護師の業務量を減らすことに繋がった。
【今後への示唆】
DiNQL データとDiNQL 以外のデータから多角的に現状を捉えることで、課題を明らかにでき、業務改善や看護の質向上に繋がることが示唆される。

DiNQL 関連演題の抄録については、商標登録は省略しています。