第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演48群 DiNQLを活用した看護の質向上①

2023年11月9日(木) 13:15 〜 14:15 第11会場 (G319)

座長:奥田 希世子

[口演Y-48-3] 身体拘束解除に向けての取り組み

―DiNQL データを活用して―

平田 竜雄, 黒木 さおり, 兒玉 加奈子 (和田病院)

キーワード:身体拘束解除、カンファレンス、代替え

【背景】
DiNQL データの分析より身体拘束に関する3項目(身体拘束患者割合・身体拘束延べ患者日数割合・患者1人あたりの身体拘束平均実施日数)について課題が見えてきた。この現状を認識し、身体拘束が解除できない要因を明らかにする。
【取組み内容】
A 病院倫理委員会の承認を得て実施。対象:B 病棟に勤務する看護師・准看護師(以下、看護職)計19 名。看護職へのアンケートから身体拘束が解除できない原因を抽出。また身体拘束に関する勉強会を行い、身体拘束解除カンファレンス(以下、カンファレンス)内容の検討とカンファレンス結果の周知方法の検討を実施。DiNQL を活用し、取り組みの効果を2021 年度データと比較した。
【結果・成果】
アンケートの結果、身体拘束が解除できない要因に①身体拘束に関する知識不足、②カンファレンスが身体拘束解除に繋がっていない、③カンファレンス結果を周知する機会がない、の3点が挙がった。勉強会実施後は、カンファレンスで身体拘束の代替え手段の提案が増加し、解除に繋がった。また、朝礼時にカンファレンス結果を報告する時間を設け周知を図ると、看護職はより積極的に身体拘束の解除に取り組むようになった。長期間に渡り解除が困難であったミトンも解除することができ、短時間ではあるが1 日の身体拘束解除時間を延長できた。DiNQL データでは、身体拘束患者割合が18%から9.8%、身体拘束延べ患者日数割合が18.5%から8.4%、患者1人あたりの身体拘束平均実施日数が23.8 日から21 日に改善した。
【今後への示唆】
身体拘束に関する勉強会で現状を再認識し、具体的な代替えの方法を看護職1人ひとりが考えたことで、積極的な身体拘束解除に取り組むことができた。DiNQL で現状を可視化し、カンファレンス結果の周知ができたことにより、短時間でも身体拘束の解除をしようという意識を持つようになったと考える。DiNQL データ上、数値が改善しているため、今後も患者の状態に応じて積極的に代替え手段を実施していけば、さらに早期の身体拘束解除に繋がると考える。今回明らかとなった身体拘束が解除できない要因3点の改善とDiNQLデータを活用しながら身体拘束の解除に努めていく。
DiNQL 関連演題の抄録については、商標登録は省略しています。