第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター12群 ポストコロナ社会の看護への示唆~看護職の心の働きとその対処②~

Wed. Nov 8, 2023 3:45 PM - 4:45 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:鈴木 美智子

[ポスターY-12-4] COVID-19流行初期におけるがん終末期患者付添いに対する若手看護師の自発的行動の影響要因

―一般急性期病棟の1 事例―

岩下 真澄 (総合新川橋病院)

Keywords:若手看護師、自発的行動、がん終末期、COVID‐19、付き添い

【目的】COVID-19 流行初期の面会禁止下で、がん終末期の家族付添いの看取りケアを提供する為に、臨床経験3 年目以下の看護師(以下若手看護師)が初めて自らの意見を声に出し、周囲を巻き込みながら問題解決に粘り強く取り組むという自発的な行動を起こした影響要因を明らかにし、若手看護師が緩和ケアを修得していく為に必要な支援の示唆を得る。【方法】A 病棟に勤務する新卒入職後3 年目以下の看護師3名に、インタビューガイドを用いた個別半構造化面接を実施した。1. 患者と家族から面会の希望を受け抱いた思い 2. 希望を叶えたいとの思いを引き起こしたきっかけ 3. 面会に対する認識の変化 4. 緩和ケアに対する気づきについて得られたデータをコード化し、更にカテゴリー分類をした。倫理的配慮として、所属施設の倫理委員会の承諾を得て実施した。面接は同所属部署の管理職である緩和ケア認定看護師( 以下認定看護師)が実施する為、今後の業務や人事考課等に一切影響しない事を説明し、同意を得た。【結果】44 コード、10 サブカテゴリーから、《患者・家族の立場に立ち思いに寄り添ったケアを提供したいという価値観》《家族にしかできない患者ケア》《患者・家族にとっての看取りケアの重みを再認識》《スタッフ間での面会に対する倫理的な対立》《面会を実現可能とするスタッフとの一体感》《患者・家族との信頼関係》の6 カテゴリーが抽出された。【考察】対象看護師は、卒後3 年目までの経験から《患者・家族の立場に立ち思いに寄り添ったケアを提供したいという価値観》を築いていた。面会禁止により《家族にしかできない患者ケア》の重要性を実感し、《患者・家族にとっての看取りケアの重みを再認識》した。《スタッフ間での面会に対する倫理的な対立》も生じたが、若手看護師が声に出し働き掛けていける様に、異なる意見の意図を理解する事やディスカッションの方法等を管理職兼認定看護師が支援していった。非常事態下だからこそ《面会を実現可能とするスタッフとの一体感》や《患者・家族との信頼関係》がより強く構築され、周囲を巻き込みながら問題解決に粘り強く取り組むという自発的な行動に影響を与えたのではないかと考える。平時においても若手看護師が同様の行動を起こしていける為には、自らの意見が述べられ、問題解決に向けた取り組み方について管理職や認定看護師からの後押しが有効という示唆が得られた。