第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

Presentation information

ポスター

ポスター13群 ポストコロナ社会の看護への示唆~看護職の心の働きとその対処③~

Wed. Nov 8, 2023 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (G1-G4)

座長:阿久津 美代

[ポスターY-13-5] COVID-19感染症による病院クラスターが発生した時の看護師の思いと支援

―濃厚接触者となり隔離生活を強いられた看護師へのインタビュー内容より―

成瀬 美恵1, 中山 栄純2 (1.三重中央医療センター附属三重中央看護学校, 2.北里大学看護学科)

Keywords:COVID-19感染症、クラスタ―、濃厚接触者、支援

【目的】COVID-19 ウイルスによるクラスターの発生時、当該部署の看護師がどのような思いを経て仕事復帰に至ったかを明確にし、今後新興感染症拡大も想定し看護管理者として看護師への支援についての示唆を得る。【方法】クラスター発生部署で濃厚接触者に該当した看護師10 名を対象に半構造化面接を実施。逐語録から仕事復帰までの思いが表れているデータをコード化し、その類似性によりカテゴリー化した。研究参加者には自由意思、データの匿名性と保護・取り扱い、結果公表に関して文書で説明し書面で同意を得た。【結果】仕事復帰までの思いが表れている140 コードから5 カテゴリーと12 サブカテゴリーが抽出された。《情報が少なすぎる不安と多すぎる不安》では〈情報が届かないことでの困惑〉〈現状がわからないことへの不安〉〈次から次に入るマイナスな情報への不安〉が、《検査結果に繰り返す安心と不安のリピート》では「…私はいったいいつ陽性になるんだろうってそっちの不安が段々大きくなった」など〈検査結果に一時の安堵〉〈つきまとう陽性になることへの慄き〉が《他者に影響を与えることへの罪悪感》には「私がうつしたんじゃないかと思ってつらかった」「家族の生活を変えてしまうのではないかとそれが恐怖だった」など〈患者に感染拡大していることへのつらさ〉〈家族の日常生活への影響を危惧〉が、《看護師として仕事復帰することへのためらい》では〈残る症状から仕事復帰への戸惑い〉〈再感染、再クラスターへの不安〉〈未経験の看護実践への不安〉が、《看護師としての自己の取戻し》では「本当はいてほしかったんだけどと言われてかえって頼りにされている感がうれしかった」「働き始めてみんな全然変わらなかった。普通に戻れた」など〈看護師としての自分の存在の実感〉〈普通に戻ることへの安心感〉が抽出された。【考察】クラスターの発生時、濃厚接触者の看護師は突然隔離生活を強いられ様々な情報に翻弄される。また検査結果に一喜一憂し、看護師という仕事ゆえに患者や家族を感染の危機に巻き込むことに恐怖心や罪悪感を抱く。それが仕事復帰へのためらいに繋となる。しかし同僚や家族との普段通りの生活や、上司や同僚からの承認の言葉で自己を取り戻し仕事復帰へ向かわせていた。看護管理者は一刻も早い通常医療復帰を目指すが、徐々に自己を取り戻していく看護師のプロセスを見守ることも重要である。